SLAはちゃんと理解して締結しよう!
ISラボ 代表 渡部弘毅
家にいることが多いと家事に対する事前期待が高まり困っている、わたちゃんです。家にいても仕事しているのに、暇だと思われるんですよね。作家や漫画家の家庭はどうなっているんだろう?
SLAとは、サービス・レベル・アグリーメントの略で、サービス提供者(プロバイダ)とサービス委託者(顧客)との間で契約する際に、提供するサービスの内容と範囲、品質に対する要求(達成)水準を明文化した文書や契約書のことです。サービスは物理的な実体のある製品に比べて内容が分かりづらく、提供者と委託者の間で「何がどの程度行われるのか」に関する認識の食い違いが生じる可能性が高い。そこで、サービスレベルを数値で明示的・定量的に定義することで、役割と責任の所在について“あいまいさ”を排除します。コールセンターでは業務を外部委託する場合、活用されます。
このSLA締結は委託側も受託側も双方にとってメリットを受けられるようにしなくてはいけません。たとえば、速度の指標である応答速度やサービスレベルと、品質の指標である重大ミス率をSLAとして委託側と結んだと仮定します。受託側はサービスレベルと品質を達成するために業務のバラつきを無くそうと努力することで、AHT(平均対応時間)を短くし要員削減に結びつき、委託側の要求SLAを守りつつ、利益も向上しWin-Winの関係になります。ありがちなのは、委託側の都合のよい条件で締結してしまい、受託側が努力してもそれは疲弊と利益の圧迫にしかならない、というような締結ですが、それは望ましくありません。
ちょっと前には、夫婦間でもこのSLAを結ぼうという報道がありましたね。欧米のカップルや芸能人カップルが結婚前に夫婦間の契約をしたという話をよくワイドショーで見かけました。かといって、そんなことをしたら大変です。結婚前といえば、お互い浮かれている時期です。そんな時に「必ず帰るコールをする」「出かけのハグ&キス」「月1回はフランスレストランに、年1回は海外旅行に行く」「結婚記念日には海の見えるレストランでの食事とプレゼント」とか、ノリノリでSLAを締結しようものなら、その呪縛に潰されます。
あまり事前期待を上げすぎるとサービスは失敗するのです。事前期待をそこそこに抑えて、その期待を超えるサービスを実施してこそ満足度が向上するという基本をしっかり押さえましょう。
夫婦間でSLAを結ぶ場合は、離婚の危機になった際に締結することをお勧めします。その際は「週1回は家に帰る」「最低の生活費は家に入れる」「金婚式を迎えたら熱海の温泉に行く」とか事前期待の低いSLAを結べるはずです、たぶん。そして週3回帰ったり、休みの日に回転すしに連れて行ったり、誕生日プレゼントを贈ったら、とんでもなく満足度が向上する、ということが期待できます。
我が家もそろそろSLA締結の時期かもしれませんが、一方的な不当な契約を交わされる可能性が高いので、このままそっとしておいた方がよさそうです。
図 代表的なSLA指標