「心でエンゲージする」対応を生み出した
コンタクトセンター改革をけん引
三井住友カード
フォーユーセンター企画部
部長代理
原田 雄介 氏
Profile
原田 雄介 氏(はらだ・ゆうすけ)
2003年、三井住友カード入社。法人営業に10年超携わり、2015年から現職。営業で培った最終的なお客様をイメージする考え方は現在においても行動のベースとなっている。何よりもチーム力を重視し、部署の垣根を越えてモチベーション向上につながる施策も多く取り組み、効果を上げている。
カスタマー・エクスペリエンスのコンセプト普及に伴い、「エンゲージメント」を訴求するコンタクトセンターが増えつつある。三井住友カードもその1社だ。
しかし、オペレータにその意義を周知する難しさは並大抵ではない。同社ではまず、「カスタマー・エクスペリエンス推進」を銘打ったプロジェクトチームを組織した。同社フォーユーセンター企画部、部長代理の原田雄介氏は、各部から集められた経験豊富なメンバーの中心的な存在として「お客様を心でエンゲージする行動」を目標にセンター改革をけん引した。
まず、従来の生産性重視の運営から大転換を図り、「心でエンゲージする」という新たな要素を加えた。具体的には、「脱・スクリプト依存」へのアプローチだ。スクリプトに固執した結果、生まれる顧客の不満を改善するために、オペレータに意見を聞きつつ対応スタイルを刷新。また、KPIにも顧客の評価を重視する指標としてNPS(ネット・プロモーター・スコア)を採用。その変化を分析することで、NPS向上につながる施策を立案・実施し大きな成果を得た。
コンタクトセンターにとどまらず
企業文化を創る!
さらに原田氏が取り組んだのが、「基礎研修の内製」だ。「文化の醸成」を目的に、一般的な理論のみを伝える形式ではなく、業務に即した内容を重視。実際の応対音声も活用した結果、参加者の理解度・満足度は大幅に向上した。研修段階で社長のビデオメッセージも取り入れ、全社的なバックアップを約束することで、安心して業務に臨める体制を構築するなど、きめ細やかなアプローチも奏功している。実際の事例を共有できる「ベストコールライブラリー」も構築し、自席で他オペレータの音声が聞ける環境を整備するなど、人材育成に傾ける情熱は多くのオペレータの「心でエンゲージする対応」を後押ししている。
「コンタクトセンターを利用前後のカード利用額」というシビアな業績指標においても、全体の利用額の伸びに対し3.4%もの高い伸びを生み出している。NPSも、施策実施前の「-17」が、実行後は「-6」まで改善した。
原田氏は、コンタクトセンターだけでなく全社的な取り組みに進化させたいという思いから、1000名以上の役員含めたコンタクトセンター内外の社員に対して、カスタマー・エクスペリエンスが産み出す効果を共有する研修を企画。その活動は新たな企業文化醸成にも寄与しつつある。