プロアクティブサポートで「未来の顧客体験」を向上しよう
ISラボ 代表 渡部弘毅
水道局の方が「最近、水道料が増えていますが、どこか水漏れしていませんか?」と訪問してきて、「素晴らしい対応!!」と感動してしまった、わたちゃんです。実は娘が実家で出産のために帰省していた時期で使用量が増えた時期でした。一方、カミサンから「今月カードの引き落とし額が高いけど、なんか悪さしていない?」と聞かれた時には、心臓バクバクでした。
カスタマーサポートは、顧客のネガティブな体験をリカバリーする役割を担います。最近では、「エンゲージメントセンター」としても期待されています。
対象となる顧客体験も、「製品使用時のトラブル体験」から「企業との全接点におけるネガティブ体験」に広がってきました。そして将来的には、「将来起こるであろうネガティブ体験」が対象となるでしょう。予防を目的としたサポート、つまりプロアクティブな顧客サポートが必要な時代ということです。
既にこうしたプロアクティブサポートはITヘルプデスクなどでは開始されています。IoTを使って設置機器の稼働状況を監視し、トラブルが起こる手前の異常値を検知、メンテナンス要員を派遣してトラブルを回避しようというサービスです。また、IoTの普及はこうした機器情報のみならず、Web閲覧履歴や購買履歴、SNSでの投稿や店舗での行動履歴まで、収集しやすくなっています。マーケティング分野ではマーケティングオートメーションツールを活用して、顧客の今後の行動を予想、最適な情報を発信するプロアクティブなプロモーション活動が可能となっています。
しかし、こうした過度なプロアクティブプロモーション活動を顧客は本当に喜ぶのでしょうか? 店舗でお気にいりの洋服を正価で購入した翌日に、同じ商品のキャンペーン半額セールのメールが届くようなアプローチだと嫌気がさしてくるかもしれません。行動までも把握したプロアクティブなアクションは、やはりサポート分野で発揮すべきです。カメラを購入した顧客に過去の同機種の故障情報と使用経過期間から、無償サポート期間が切れる前に点検のための来店を促すメールを出すなど、顧客志向のプロアクティブアクションがエンゲージメントセンターのあるべき姿と言えます。
ということで、家に帰って早速実践です。カード請求後のカミサンの激怒を予防するためのプロアクティブアクションとして、今月は仕事上の飲み会続きで大変だった話をしたところ、逆に怪しまれ今までは見過ごしてきた細かい請求内容までチェックされ、深い傷となってしまいました。家庭でのプロアクティブアクションはあまり効果ないみたいです。
図 カスタマーサービスの変遷