カスタマーサポートが主役となる
「マーケティング4.0」
ISラボ 代表 渡部弘毅
“レジェンド”と言われる経営学者の言葉には敏感に反応してしまう、わたちゃんです。マネジメントの父と言われるピーター・ドラッカーの名言に、「マーケティングの究極の目的はセールスを不要にすること」という言葉があり、かつてはよく引用していました。
そして、これまた偉大なマーケティングの神様と言われている、フィリップ・コトラーが2017年8月に「コトラーのマーケティング4.0」を上梓しました。コトラーは2010年にマーケティング3.0という概念を発表して、今までのマーケティングにパラダイムシフトを起こしました。
2.0までのマーケティングでは、企業と顧客の関係はハンターと獲物の関係で、いかに購買しそうなお客様を効率よく見つけて、お客様が求める情報を提供し確実な受注に結び付けるかが焦点でした。いわば「狩猟型マーケティング」です。マーケティング3.0においてコトラーは、企業と生活者が共存、共栄関係であり「よりよい世界を築くための活動をしている企業が生活者から支持される」というまさに神がかったコンセプトを打ち出し、SNSなどの新しいネットワークテクノロジーがその後押しをしていると解説しました。これは「農耕型マーケティング」と言えるでしょう。
4.0の書籍の中では3.0で発表したコンセプトを具現化するための多くの知見が語られていますが、カスタマーサポート業務を担当している方にとっては、とくに以下の考察が重要と考えます。
(1)マーケティングのゴール指標は「購買」より重要な「推奨」になった、(2)「購買」は友人や家族などの他者の影響、「推奨」には自身の体験が影響し企業の影響力は薄れる、(3)ネットの常時接続環境がデジタルマーケティングに拍車をかける。
これらを考慮すると、デジタル技術を駆使しながら、お客様の購買体験や利用体験を向上させるためのカスタマーサポート力がマーケティング4.0の根幹であることが分かってきます。
ということで、カスタマーエクスペリエンスおやじこと、わたちゃんは以下の名言を発します。「サポートの究極の目標はマーケティングを不要にすること」です! サポートに従事している皆さん、ともに頑張りましょう!
図 マーケティングの変遷
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