ディー・エヌ・エー(DeNA)
「顧客視点のモノ創り」に真価を発揮
開発・品質管理と三位一体で経営貢献
多種多様なネットサービスを展開するディー・エヌ・エー。東京と新潟のマルチサイト運営で膨大な数の問い合わせをカバーしつつ、そこから得られる「VOC」を開発部門に発信、新たなサービスの開発や運用に活かすためのプロセスを構築している。また、開発部門発信のナレッジを運用に活かすことで、より高度な経営貢献を果たしている。
ゲームからヘルスケア、そしてプロ野球球団経営(横浜ベイスターズ)に至るまで、多種多様なビジネスを展開するディー・エヌ・エー(東京都渋谷区、守安 功社長兼CEO、以下DeNA)。カスタマーサービス部のCSセンターは、横浜ベイスターズをはじめ一部サービスを除いたほぼすべてのビジネス領域のサポートを担っている。
多くはインターネットサービスであるため、回答だけでなくサービスプロセス全般において“スピード”の優先度は高い。結果的に意思や手法の共通化を重視せざるを得ないため、ほぼすべてをインハウスで運営している。システム本部 品質統括部 カスタマーサービス部 CSセンター長の西 雅彦氏は「年々、サポートすべきサービスが増えていくので、スピード感と品質を維持するためにさまざまな工夫を凝らしています」という。ポイントは、(1)マルチサイト、(2)コンタクトに至るまでの導線(体験)の最適化、(3)人材採用、(4)全社に対する影響力を行使できる組織体制などだ。
カスタマーサポートは、東京と新潟に拠点を構え、オペレーションは完全に連携している。一部のサービスで実践している電話サポートは主に新潟で対応。もうひとつ、極めて重要な役割である「サイトパトロール」は24時間365日稼働しており、夜間は東京、昼間は新潟が担当している。本社機能(関連部署など)との打ち合わせが容易な東京センターでは新規立ち上げ案件をサポートし、安定稼働に入ったサービスを主に新潟で運用している。
次々と新サービスをリリースする同社において、オペレータの採用は最重要事項といえる。立ち上げのたびに開発と連携、これまでのトレンド分析と起こり得る障害の予測まで実施し、問い合わせの予測件数に応じて人材を採用している。アルバイトといえども求めるスキルや条件は決して低くないが、東京も新潟も、ひとたび募集をすると多くの応募が殺到。DeNAの高いブランドイメージが応募数に寄与していることは想像に難くない。西氏は、「中心となっているのが電話ではなくメール対応ということも大きいと思います。実際に働いているスタッフからも、メール対応は精神的な負荷が低いなどの声をよく聞きます」と話した。また、同社ではその働きやすさから子育てが終わった後に戻ってくる主婦といった“出戻り”や、既存スタッフによる知人紹介などのリファラル採用も多く、労働環境の健全さが人材確保に活きている。
(左)システム本部 品質統括部 カスタマーサービス部 CSセンター長 西 雅彦氏
(右)同部 統括部長 三村宏康氏
図 メールサポート対応フロー
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Center Profile
東京都渋谷区と新潟県新潟市の計2拠点において、60以上のサービスをサポートしている。カスタマーサービスと品質管理を合わせて、600人以上のスタッフが在籍。サイトパトロールの時間帯や担当サービスを分担するなど、完全に連携したマルチサイト運営を実施している。