白石区東札幌に立地する札幌センターの外観
吹き抜けで開放的な中庭「カントレラ」はアイヌ語で“天空・風”
暖かな日はウッドデッキで談笑
KDDIエボルバ
2000名体制を見据えた雇用も順調
採用激戦区を脱する「集約」の好事例
札幌市の中心街から地下鉄で約10分。閑静な住宅地が広がる白石区に、KDDIエボルバの札幌センター「Polaris_Sapporo(ポラリスサッポロ)」が建つ。同センターは今年7月にオープン。それまで同市中央区に3拠点あったコールセンターのうち2拠点を1カ所に集約した。
「中央区は人材の宝庫ですが、他社センターも集まる採用の激戦区。そこから敢えて離れ、当社が求める人材を充足できるエリアとして白石区を選定しました。クライアント様も最初は不安視されていましたが、現在は毎日のように応募者が面接に訪れます」と、北海道副支社長兼センター長の相徳光穂氏。実際、中央区の頃に比べると約2.5倍の面接予約があるという。
札幌センター長の相徳光穂氏(前)、後列左より、運用4G グループリーダーの沢口貴仁氏、運用2G グループリーダーの酒井 智氏、総括G グループリーダーの石川 翔氏
「中庭」がコミュニケーションを生む
「Polaris_Sapporoのコンセプトは“つなぐ”です。地元の方々に愛され、企業とお客さま、社員と社員がつながることを意識して全体を設計しています」と相徳氏は強調する。それを象徴するのが、大きく中庭を設けてガラス張りを多用した回廊形式の建屋だ。明るい空間でスタッフがイキイキと笑顔で働けることを心がけた。外観は白で目立つ。交通量の多い南郷通とサイクリングロードに面し、建築時から「何が建つんだ?」と地元住民の関心を呼んだ。
エントランス正面のセキュリティゲートを通ると広い吹き抜けの中庭が目に飛び込む。札幌のシンボル「藻岩山」を模したミニ庭園には札幌を象徴する「カツラ」の木が3本、植樹されている。中庭の2階部分にはウッドデッキのテラスが設えられ、休憩時間にはスタッフが集まる憩いの空間となっている。
回廊に沿って左手に進み、ぐるりと廻ると厨房と社員カフェテリアがある。300席を用意。フル稼働時(約2000人)でもシフト勤務のため席数は余裕だ。「営業時間は11時〜16時。毎日8品程度の日替わりメニューがワンコイン以内で食べられます」と、総括G グループリーダーの石川 翔氏。営業時間外も休憩スペースとして自由に利用可能だ。採用センターとは隣接しており、応募者はガラス越しに“将来の仲間たち”を確認できる。
2階・3階は運用室(オペレーションルーム)。中庭側の回廊との壁はガラス張りだが、デスクとは距離を十分に保ち、キャビネットなどで仕切ることで情報セキュリティを担保する。2階は大手通信会社の顧客対応と事務処理を実施、今秋よりチャット対応を開始する予定。3階は、グループ外の顧客対応も行う。「以前はほぼ大手通信会社の業務で占められていましたが、拡張移転したことで新たなビジネスを受託可能になりました」(相徳氏)
運用室のカーペットや什器などにもこだわり。各業務のグループリーダーがコミュニケータやSVの意見を聞き入れつつ選定。“みんなで作ったセンター”で愛着が湧くようにしている。
この他、ロッカールーム、リフレッシュスペース(グループ/個人)、面談コーナーなどを随所に備えている。
「保育園」が社員や地元をつなぐ
“つなぐ”を体現する新たな施設が、企業主導型保育園「こどもカンパニー東札幌園」だ。産休・育休明けの母親が安心して子どもを預け、仕事に復帰できる。SVの登石美花さんも保育園利用者の1人。2年前に女の子を出産、産休・育休に入ったが保育所がなく、復帰のタイミングを測りかねていた。
「札幌駅前の園で待機児童が50人。エボルバに保育園ができると聞いて、これしかないと思いました。やはり、いつでも会えるので安心ですし、一緒に出退勤できるので時短にもなります。こどもカンパニーは、情操教育や英語のカリキュラムにも力を入れているので、その点でも期待しています」(登石さん)
保育園は地域枠で従業員以外も利用可能。子どもの入園と同時にママも入社となれば、まさに“つなぐ”の実現だ。また、同社は障害者雇用にも注力しており、現在は2名が中庭の手入れや施設内の清掃で勤務している。