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2023年8月号 <IT企業に聞く!>

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内山 知之 氏

内山 知之 氏
代表取締役社長

<コーナー解説>
ITソリューションベンダーのキーマンに製品・販売戦略を聞きます。

日本アバイア

新生アバイア、再始動!
マイナスイメージを覆すハイブリッド戦略

企業PROFILE

所在地:東京都港区赤坂2-17-7 赤坂溜池タワー
設立:2000年2月
資本金:4億8000万円
URL:www.avaya.com/jp/

 2023年2月、米アバイアは日本の民事再生法に相当するチャプター11(米連邦破産法11条)を申請し、3月22日にテキサス州南部地区倒産裁判所が同社の再建計画を認可した後、5月1日に全プロセスを完了した。同社のチャプター11適用は2017年に続いて2回目。前回、圧縮されて残った負債の34億ドルは、ビジネスモデルの変化や金利の影響などもあってほとんどそのまま残債となり、経営を圧迫し続けた。2022年6月に業績悪化に関する発表以降は株価が急激に下落。しかし、同年8月にCEOに就任したアラン・マサレク氏を中心に、早い段階で主な債権者との話し合いが進んでいたと推察され、それが速やかな再建計画の認可につながったようだ。今回、想定以上の関係者の賛同を得ることができ、圧縮されて残った負債総額は約8億ドル、75%以上が削減され、財務状況は飛躍的に改善した。

 2023年5月、日本アバイアの新社長に就任した内山知之氏は「日本市場ではここ数年間、目標とする収益を常にクリアし続けていました」と説明する。同社はとくに大規模コールセンター向けのプラットフォームとしてトップシェアを誇り、国内だけで約25万席ほどが稼働している(推定)。一方で競合ベンダーやSIからは、「クラウドシフトへの対応が遅れた」という指摘も目立ち、内山氏もその点は認めつつも「大規模な案件で他社にリプレースされたお客様はほとんどいません。一方で、この1年間で新規でアバイアをご採用頂いた複数のお客様がいます」と強調する。

 コールセンターのシステムは、災害時や緊急時でも停まることが許されないという認識が極めて強い。その結果、「クラウドシフトの必要性は認識していたが、大規模センターのお客様が多いだけにまずは安定稼働が優先」(内山社長)という判断がなされたのはやむを得ない。また同社では、オンプレミス・システム導入においても、課金モデルをサブスクリプション型に移行、ユーザー側からすれば初期費用は従来よりもかなり安価に利用できている。これも他社へのリプレースを最小限に抑えた大きな理由といえそうだ。

 “新生アバイア”の方向性について、内山社長は「コンセプトは“Innovation without Disruption(途切れのない進化”)。お客様のビジネスに適した多様な選択肢を提示します。豊富な実績をもつ『Avaya Aura』をコアとし、オンプレミス、プライベートクラウドである“Avaya Enterprise Cloud”、そして新たに開発したパブリッククラウドである“Avaya Experience Platform”が柱。Avaya Auraを利用したまま革新的なクラウドサービスと連携することで、ビジネスを継続しながら革新的な機能を取り入れ、新ビジネスを高い機敏性と柔軟性で進めていただくことを目指す」と説明する。これまで、アバイア製品はパートナー各社が展開するクラウドサービスの基盤として利用できていたが、同社は2023年第初頭にも日本国内にクラウド基盤(データセンター)を設置する方針で、ユーザー、パートナーともにさらに選択肢は拡大する見込み。米アバイアも、クラウドサービスへの投資を全体投資の50%まで引き上げるとしており、コールセンターのクラウド市場へいよいよ“本命”が本腰を入れることになりそうだ。

 

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