「ITの専門家以外」が使えるAI
その懸念点と適用領域①
2023年8月17日
ChatGPTをはじめとした生成AI(Generative AI)の登場がもたらす変化をどう受け入れるのか。AI活用は、競争力の源泉だ。「時流に乗らない」ことのリスクは大きい。事業部門にありがちな「自分たちはITの専門家ではない」という姿勢では、市場から取り残される。本稿では、事業開発を生業とする筆者が、生成AIの概要、コールセンターでの適用領域の見極め方を解説する。
Profile
AI Booster
代表取締役
小栗 伸
NTTドコモにて、ドコモショップ2300店舗に導入した「AI電話サービス」をはじめ12のAIプロジェクトを製品化・事業化。NTT DegitalでWeb3事業創出に取り組む傍ら、AI Boosterを設立し生成AIを活用したソリューション提供、導入支援に携わる。
生成AI(Generative AI)は、テキスト、画像、動画などを生成するAIの総称であり、OpenAIが提供する「ChatGPT」をはじめ、各社からさまざまなサービスが展開されている。生成AIは大量のデータからパターンを学習し、入力に対して結果を出力する。その最大の特徴は“入力に対して、新しいデータを生成できる点”である。
生成AIへの入力は、自然な文章のようなテキストだけでなく、画像、音声なども可能で、またこれらを組み合わせて入力できるマルチモーダルの開発も進んでいる。
ChatGPTへの関心の高さ
OpenAI社が2022年11月に公開したChatGPTは、公開わずか1週間で100万ユーザー、2カ月で1億ユーザーを突破。世界最速ペースでユーザー数を獲得、利用者は急増。野村総合研究所の調査によると、米国(10.6%)、インド(9.0%)に次いで、日本(6.6%)は3番目にトラフィックシェアが多く(https://www.nri.com/jp/knowledge/report/lst/2023/cc/0526_1)、国内での関心・利用度は高い。
ここまで急速に普及したのは、プログラミングやITの専門知識がなくても誰もが簡単に使える点、また指示(プロンプト)の次第では、人間と同等以上のアウトプットが可能な点があげられる。その用途は、チャットなどでの自動応答や文章作成、要約、翻訳、企画書作成、アイデア出し、プログラミングなど多岐にわたる。
今後は、AIやテクノロジーの専門家ではなく、業界ドメインの知見を持っている人間が生成AIを活用して業界の課題を自身で解決していくだろう。