カスタマーサポートの“市場価値”を高める!
「ファンづくり」を主導する新会社の人材戦略
サイボウズ・コネクトシー
代表取締役社長
関根 紀子 氏
業務改善プラットフォーム「kintone」など、さまざまなクラウドサービスを展開するサイボウズ。同社は2023年6月、カスタマーサポート事業を担う新会社「サイボウズ・コネクトシー」を設立した。新会社代表の関根氏に、顧客ロイヤルティ醸成に特化した新会社のビジョンと仕組みについて聞いた。
Profile
関根 紀子 氏(Noriko Sekine)
サイボウズ・コネクトシー 代表取締役社長
2001年にサイボウズ入社。社内メール共有システム「メールワイズ」のプロダクトマネージャー、新規事業部長、マーケティング部長を経て、2015年より執行役員カスタマー本部長に就任。2023年6月、「カスタマーサービスが持つ本来の楽しさややりがいを広げたい」という思いの下、2023年6月に新会社「サイボウズ・コネクトシー」を設立。
──新会社「サイボウズ・コネクトシー」の設立背景をお聞かせください。
関根 サイボウズのようなクラウドサービス事業者にとっては、「顧客との継続的な関係構築」は重要な経営課題です。サイボウズは早くからその点に着目し、カスタマーサポートに力を入れてきました。顧客ロイヤルティを醸成しファン化するという一連の取り組みには、一定のノウハウを蓄積してきたと自負しています。この先、さらに顧客が増えていく未来を想像したときに、安定したカスタマーサポートのサービスをこれまで以上の質で提供していくためには、高い専門性をもった人材の採用と育成に集中する必要がありました。サイボウズ製品のサポートの一次対応は従来通り、サイボウズからBPO4社に委託しますが、新会社は、それらのBPOと並列な位置づけとして、二次対応(バックサポート)をサイボウズから受諾します。他にも、サイボウズのカスタマーサポート以外のBPO業務も一部受諾し、サイボウズの事業運営をサポートします。
──新会社の方向性を具体的に教えてください。
関根 とくに重視しているのが、専門性が高く顧客対応が好きな人材の確保です。オペレーション業務に特化した新会社にプロパーの社員として採用することで、サイボウズが提供する製品サポートにおけるCX(顧客体験)の強化に化学反応を起こし、これまで以上に価値のあるサービスを提供できるのではと考えています。さらにコンタクトセンターでのAI活用に精通した人材を確保し、積極的かつ迅速なソリューション導入も推進していきたいです。
──採用難が厳しさを増していますが、打開策は。
関根 入社した全スタッフがワクワクできる、やりがいを持って働く体制を目指しています。具体的な取り組みのひとつが、場所に縛られない働き方の実現です。現在、新会社の社員は10名で、沖縄や松山、東京など、働く拠点はさまざま。フル在宅勤務の社員もいます。これを実現するために活用しているのが、サイボウズが提供する情報共有プラットフォームと、コロナ禍で進化したリモートワークによって生産性高く働ける環境づくりです。コミュニケーションを活性化し、チームワークを強化します。やりがいを高めるには、社員1人ひとりの成果を活性化し、フィードバックすることも重要だと考えています。トップとして、「努力を認め、経営貢献していくことを言葉にして伝える」ことを心がけています。褒めるときは、ちょっとしたサプライズの演出も加えています。会社や経営陣が社員に感動を与えることで、その社員はお客様の感動を生み出せるよう働きかけてくれるようになり、従業員の定着につながっています。
(聞き手・彦坂 宗次郎)
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