あらゆるコミュニケーションを網羅
“真のオムニチャネル体験”を訴求
米Zoom Video Communications
APJカスタマーエクスペリエンス部門責任者
フィリップ・ザミット 氏
PROFILE
フィリップ・ザミット 氏(Phillip Zammit)
CX、コンタクトセンター、カスタマーサービス業界で20年以上の経験を持つ。APJ(アジア太平洋および日本)のZoom Contact Center責任者を経て、カスタマーエクスペリエンス部門の責任者に就任。Zoomの成長地域におけるビジネスをリードする。
2023年7月、日本での提供を開始したクラウド型コンタクトセンターシステム『Zoom Contact Center』。ビデオ会議プラットフォーム『Zoom』上でのオムニチャネル体験を訴求する。カスタマーエクスペリエンス部門の責任者であるフィリップ・ザミット氏に、開発の背景と戦略を聞いた。
──『Zoom Contact Center』開発の経緯を教えてください。
ザミット これまで、Zoomは“あらゆるコミュニケーションをつなぐ基盤”というコンセプトのもと、機能を拡充してきました。今回提供を開始したコンタクトセンター機能もその1つです。
──グローバルでは2022年2月に提供を開始。企業の活用状況はいかがですか。
ザミット すでに400社が導入し、そのうちの約半数がビデオチャネルによる新たな顧客体験を模索中です。ただ、Zoomだからといってビデオチャネルに固執するべきではないですし、顧客体験の観点では「本質的ではない」と考えています。たとえば、金融業界のロイヤル顧客対応やメーカーのテクニカルサポート、ヘルプデスクなど、映像情報がコミュニケーションの「価値」を高めるセンターでの活用を想定しています。このほか、実運用のなかで、顧客企業と新たな活用シーンを探っていく考えです。
──2023年7月に国内提供を開始。コロナ禍でZoomが普及し、多くの人がUIに慣れ親しんでいることも、好影響しそうです。
ザミット 家族や友人と連絡を取り合うような感覚で、企業と顧客、そして従業員同士がつながることができるのは、Zoomだからこそ提供できる体験価値だと思います。さらに、これまで1500以上の機能強化を実施し、ユーザーが簡単かつシンプルに利用できるようプロダクトを磨き上げてきました。そのプラットフォーム上で、真のオムニチャネル体験を享受できます。
──真のオムニチャネルとは。
ザミット CX、EXの両方の観点でのオムニチャネルを指します。現在のコンタクトセンターを俯瞰すると、自動化チャネルも含めてオムニチャネル対応を実現する場合、複数のソリューションを組み合わせなければならないケースがほとんどです。それには多額の投資を伴ううえ、オペレータは複数システムを切り替えながらの応対を強いられます。顧客があらゆるチャネルをスマートフォンのみで扱えるのに対し、オペレータにとってはまったくオムニチャネルになっていません。真のオムニチャネル体験を実現するには、単一のプラットフォームであることは必然です。国内提供開始に続いて会話型AI『Zoom Virtual Agent』を拡充したのも、戦略の一環です。
──日本国内での導入はどのように進める方針ですか。
ザミット 直販と販売代理店の2つの販路で開拓を進めます。また、並行して、日本特有の商慣習やニーズを随時吸い上げて精査し、プロダクトに反映、訴求力を高めていく方針です。