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コールセンター「進化のプロセス」

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コンタクトセンターは、1990年台にその原型が創られ、現在まで運用も対応も高度化してきた。

その歴史をたどると、2000年初頭までは、顧客からの問い合わせは電話が中心で、2000年以降、メールやWebからの問い合わせが徐々に増加。センターの呼称は「コールセンター」「お客様相談センター」などの呼称がメインであり、応対者の呼称も「オペレータ」がほとんどであった。

 2010年前後あたりに会社のHP上でFAQを掲載する企業が増え、メール対応を中心とするセンターも現れてきた。顧客も用件や状況によって、電話とメールを使い分けるようになり、コールセンターの呼び方も複数チャネルの対応を行う意味で「コンタクトセンター」と呼ぶ企業が出てきたのもこの頃だ。応対者の呼称も「コミュニケータ」や「レップ(Representative)」「TSR(Telephone Sales/Service Representative)」と多様化した。

 2013年頃からは、デバイスの台頭がめざましく、FacebookやTwitterといったソーシャルメディアや、チャット、LINEなど新しいコミュニケーションツールの利用者が大幅に拡大。
 一方で、運営は応対履歴をベースにした「対応のマニュアル化」が進み、コールセンターの品質基準として着目されたのが「マナーの徹底(失礼の無い対応)」を心がけるというものだ。
 最近では、「エンゲージメントセンター」という呼称のコールセンターで、「コンシェルジュ」と呼ばれる応対者が、顧客のあらゆるニーズにマニュアル対応ではなく、個別最適化された対応を実践するというケースもある。各企業が顧客の収益やライフタイムバリュー(生涯価値)の拡大に貢献するエクスペリエンスを積極的に提供していこうという動きになっている。

 今後、少子高齢化によって、人材不足と顧客の高齢化が進む。グローバル化の波も押し寄せ、多言語対応も避けては通れなくなる。FAQやインターネット上の情報はさらに充実し、顧客の事前学習は高度化するだろう。メールやWeb、AIでの対応により解決率が増加すれば、電話そのものが減少するにちがいない。コールが減れば、コール分析からのお客様動向調査は難しくなる可能性が高い。
 将来的には、単純な質問はネットや人工知能(AI)が対応可能になりそうだ。有人対応窓口には、クレームか高度な質問ばかりになるかもしれない。
 経営者は、これらのコンタクトセンターの未来予測に対して、自社センターで今後取り組むべき課題とロードマップ作りに真剣に取り組んでいくべきだ。




(連載「新任マネージャーのためのコールセンター運営の基礎知識」 月刊コールセンタージャパン2017年8月号掲載)

著者:五月女 尚
この著者の講座は、「コールセンター運営の基本知識とマネジメント入門講座」「 実践!KPIマネジメント・課題解決講座」です。

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