<コーナー解説>
ITソリューションの導入に関し、背景や動機、選定要素と運用ポイントを聞く事例記事です。
紀陽銀行
業務品質の可視化、放棄呼削減、SMS連携
クラウド化がもたらした「CX」の改善
コールセンターの運営には、一般オフィス向けのビジネスフォンでは品質や生産性が測定できないため、必ずしも適していない。しかし、ACDやCTI機能が搭載されたシステムはコストの問題で導入していないセンターもまだ多い。
紀陽銀行は、このほどジェネシス・ジャパンのクラウド型コンタクトセンターシステム「PureCloud」を導入。クラウドサービスの採用は同行初だったが、(1)金融機関の信頼性を担保する堅固さや実績、(2)拡張性、(3)運用負荷の軽減などを評価し、採用に至った。
システム導入後の最も大きな変化が、改善施策のスピードアップだ。例えば資料発送は、応対後に手書きのメモを元に郵送あるいはメールで一括送信していたのを、通話中にSMS(画像参照)で発信するといった運用に切り替えた。
SMSの配信は、タイムラグがほとんど発生しないため開封率がよく、通話中であればその場で受け取っていることも確認できるため、確認のための連絡が不要になるなど効率化につながっている(図)。
今月のPOINTS!
■システム概要
紀陽銀行は、商品・サービスの電話相談窓口と無担保ローン申し込み受付窓口に、ジェネシス・ジャパンのクラウド型コンタクトセンターシステム「PureCloud」を導入。従来、把握できなかったKPIを可視化した他、応対品質やオペレータ管理を強化した。
■選び方のポイント
金融機関の信頼性を損なわない堅固さと、スキルベースルーティング機能に長けていることなどを重視してシステムを選定。クラウドシステムの導入は同行初。
■使い方のポイント
クラウドならではの多機能性と運用負荷の軽さを活かしてCX(顧客体験)を改善。具体的には、応対中の資料送付やアウトバウンドの一部をSMS発信に切り替えるなど。ソリューション連携が容易なクラウドサービスをベースにすることで、スピーディかつ気軽な業務改善へのアプローチが可能となった。また、リアルタイムの放棄呼率を把握できるようになったことで意識醸成が進み接続品質が改善した他、モニタリングをベースとした評価・育成で応対品質も向上しつつある。
ダイレクトマーケティングセンターの根来篤史 副長(左、役職は当時)、山本順子氏(中)、片山英俊 センター長
送付しているSMS(例)
図 ローン申し込み者へのSMS配信手順変更による効果
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