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2019年12月号 <CS戦略>

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執行役員 マーケティング本部本部長 兼 情報システム部長 後藤 晃氏

執行役員 マーケティング本部
本部長 兼 情報システム部長
後藤 晃 氏

<コーナー解説>
カスタマーサービスに注力し、コールセンターやWebサイト、アプリなどを有効活用し成長している企業のキーマンに戦略を聞きます。

ベアーズ

「マーケティング+CRM=CX向上」を目指す

企業プロフィール

設立:1999年10月
資本金:8950万円
事業内容:家事代行サービス、ハウスクリーニング、キッズ&ベビーシッター、高齢者支援サービスなど

 共働き世帯の強い味方として、メディアで取り上げられる機会が増え、2016年、テレビドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」(TBS)の影響で一気に需要が爆発した家事代行業。大手の一角、ベアーズ(東京都中央区、髙橋健志社長)も2ケタ成長を続けてはいるが、執行役員の後藤 晃氏は「需要は引き続き増えていますが、そろそろ成熟期に入りそうな気配も感じます」と語る。

 成熟期に移行しそうな市場で、勝敗の行方を分けるのは「リピーター」の存在だ。同社では、派遣するスタッフのスキルはもちろん、受け付ける顧客接点の品質向上を図り、リピーターの獲得、つまり“カスタマーサクセス”の実現を目指している。

 後藤氏は、「従来、別組織だったマーケティングとCRMを統合し、カスタマーエクスペリエンスを一気通貫でマネジメントできる組織を立ち上げました」と最近の変化について説明する。

 まず着手したのが、「CRM領域のIT化」だ。

顧客接点を徹底強化

 コンタクトセンターは、電話とWebフォーム(メール)で問い合わせに対応している。コミュニケーション基盤として、コムデザインのクラウドソリューション「CT-e1/SaaS」を採用。自社開発しているCRMデータベースと連携し、高次元かつ一貫した顧客対応を目指している。さらに、WebサイトのFAQとともに、チャットボットによる簡単な問い合わせ対応も開始。

 事業の柱をなすのは家事代行とハウスクリーニングだが、サービスメニューが決まっているハウスクリーニングに比べ、「家事代行はお客様のご要望がそれぞれ異なるカスタマイズが必要な商品。電話での聞き取りは丁寧かつ慎重さが求められます」(後藤氏)という。そこで、対応要員は元営業マンを配置。AHT(平均対応時間)は問わず、成約率をKPIとしてマネジメントしている。対応後の入力されたVOCはもちろん、NPS(ネット・プロモーター・スコア)調査も実施し、結果は即座に共有、改善の素材として活かしている。

 さらに、Webサイトとコンタクトセンターを含む顧客接点を対象にミステリーショッパー(覆面調査)を実施。カスタマーエクスペリエンスの向上に大きなリソースを割いている。

 同社の創業は1999年。日本には家事代行というビジネスは存在していなかった。創業者である髙橋夫妻は、それまでの勤務先だった香港から帰国、「世の中の役に立つことがやりたい」と考え、起業を志した。香港では、家政婦を雇うことは特別なことではない。共働きが増えつつあった日本でも「いつも忙しく、時間がない女性を、煩わしい家事から開放したい」という思いでビジネスを立ち上げた。

 現在進行形で取り組んでいるカスタマーエクスペリエンス強化も、こうした創業者夫妻の思いを体現したものといえそうだ。


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