さまざまな“旅の瞬間”が映される
木々が生い茂るエントランス
木の温かみ感じられる社名ロゴ
ベルトラ
働きやすさと「SNS映え」が両立
都心の新オフィスで高める従業員体験
一歩足を踏み入れると、“旅”を感じられる一瞬を切り取った映像が、目に飛び込んでくる。先に進むと観葉植物が生い茂る。そんな一見、職場らしくない雰囲気のエントランスは、海外旅行のオプショナルツアーを提供しているベルトラの新オフィスだ。執務するデスクは仕切りのない開放感を重視。金魚鉢では魚が泳ぐ。仕事の緊張感を中和し、リラックスさせてくれそうだ。
最大の特徴は、入室と同時に端まで見渡せる広々とした景観にある。さして新しくはないビルに関わらず解放感が溢れる内装のポイントは、天井とレイアウトにあった。PR&コーポレートコミュニケーション デザイナー・クリエイティブディレクターの鑓溝 慎太郎氏は、「古いビルなので、天井がとても低く、これでは圧迫感からストレスにつながると感じました。天井板を取り外しモダンなカフェ風にしました」と振り返る。結果、ダクトがむき出しながら、それがむしろ映える“いま風”のオフィスに生まれ変わった。
フロアの周囲には、足場の高い回廊風の通路が巡らされている。その中心に配置されたのが顧客対応を担うカスタマー・サービス部門で、周囲は他部門のスタッフが取り囲むように座っている。カスタマーエクスペリエンスを強力に標ぼうする同社の、社内外に対するメッセージを表現しているかのようだ。
なおカスタマー・サービス部門以外のスタッフは全員、フリーシーティングで、毎朝、早い者勝ちで好きなシートを選ぶ専用端末も導入されている。
開放感溢れるフロア
従業員満足度高める設備と制度
新オフィスは、徹底的に従業員満足度を重視、細部に至るまでこだわった。移転に際し、各部署から選抜したプロジェクトチームを発足。例えば椅子やデスクなどの什器の選定も、従業員の声をヒアリングして1つひとつ決めた。海外事業部 ビジネスアナリスト 濵沙美智氏は、「とくに椅子にはこだわりました。従業員が勤務中ずっと使うものなので、徹底的に試乗をした上でじっくり決めました」と笑顔で語った。
休憩室は居心地の良さを追求している。深く座れるソファーや、カフェのようなボックス席を設置。休み時間に笑顔で語らい合う社員が多く、交流の場にもなっている。中央の大きなテーブルは、昼休みやアフターファイブには楽しめるよう、卓球台にもなる。さらに、質の良いコーヒーサーバーとトースターを完備。従業員の健康を気遣ってフルーツも用意、栄養バランスを考えて作られた弁当も安価でオーダーできるので人気だという。取締役海外事業部執行役員の萬年良子氏は、「(従業員には)質の良いものに触れて、『良いものがなぜ良いのか』ということを考え、理解してほしい。そこから刺激を受け、高品質のサービスやプロダクトを作り出してもらいたい」と強調する。
さらに萬年氏は、「社員が会社から大切にされていると感じられなければ、お客様を大事にできるわけがありません」と言う。また、社員のライフスタイルの多様化や安全配慮、そしてBCP対策として、在宅勤務制度を導入している。在宅勤務は、制度化している企業は多いが運用レベルが向上せず、形骸化しやすい傾向が強い。導入していてもコンタクトセンターなどのカスタマー・サービスは除外されている企業も多いが、同社は区別なく運用できている。萬年氏は、「先日の台風のときなど、災害時に無理に通勤させる必要はありません。社員の安全のためにも自宅で勤務してもらった方がいいはず」と、在宅勤務の有効性を強調したうえで、「形だけの制度で実際は使いづらいのでは意味がありません。どんどん使ってもらって、より働きやすい職場にしたい」と意気込んだ。