コールセンターは医療機関に匹敵する
社会インフラ
ISラボ 代表 渡部弘毅
外出自粛でさまざまな苦労を強いられていますが、なかでも、人と対面で議論する機会を奪われたのが辛い、わたちゃんです。Web会議は効率的なので頻繁に実施しますが、ブレーンストーミング的な会議ではやはり対面会議が良いですね。
今回のコロナショックで、企業での働き方が大きく変わりました。在宅勤務、リモートワークを試行中だった企業は、その動きに拍車がかかり、一気に働き方改革が進んだ例も多く見られます。
一方、コールセンターの職場環境はどうでしょうか。「センター」という名称が示すように、コールセンターは労働集約的な業務となり、リモートワークというイメージがありません。
コールセンターのインフラはデジタル化、クラウド化が進み、顧客情報や対応履歴、モニタリングなどさまざまな機能が発達しています。これを活用したマネジメントのノウハウも蓄積され、その知見は広く共有されています。
つまり、コールセンターの業務は、インフラ設備だけを考慮すると、本来、リモートワークに移行しやすい業務といえます。
それにも関わらず、リモート化が進まない大きな要因は2点あります。ひとつは、セキュリティです。顧客情報の閲覧、更新が必要な応対では情報漏洩のセキュリティを担保することが難しくなります。もうひとつは、リアルタイムマネジメントです。とくに電話対応にはトラブルを即座にサポートできる体制が必要ですが、リモートで行うことは難しいのが実情です。メールやチャット対応、自動応答、対応プロセスの分業などで、セキュリティや運用の壁を乗り越えている例も見られます。
今回のコロナショックでは、自治体を中心にコールセンターが数多く立ちあがりました。感染の症状や、支援金・補助金などについて相談するセンターです。相談者が役所などに殺到して3密状態にならないためにも、こうしたコールセンターが欠かせません。不安を抱える生活者にはネット上のFAQなどによる自動解決だけでなく、電話で人が対応することもとても重要です。
こうしたことから、コールセンターは医療現場の一歩前の、最前線の現場と言えるでしょう。そしてそこでは、ややもすると3密環境の職場で、人手不足のため不眠不休で働いているケースもあるのです。
今回の戦いは長い戦いになります。そのためにも、コールセンターにはリモートワーク環境を導入し、国民とコールセンターの働き手の双方にとって有益な環境とするべきです。
コールセンターは医療機関に匹敵する重要な社会インフラなのです。
図 相談センターの現状とリモート環境による変化