SV/リーダーの意識調査
コロナ禍で変わる「期待」「役割」
Part.1 <アンケート>
非常事態こそ求められる「コミュニケーション」
負担重くなるSV/リーダーの不満と不安
人手不足や感染症流行といった環境変化により、SV/リーダーへの期待や要求も高度化しつつある。オペレータが安心して働ける職場にするには、精神的な支えともなる“人の力”が重要だ。社会的に不安・不満が高まっている今、顧客対応の現場のストレスもまた、かつてないほど高まりつつある。SV/リーダーの意識調査をもとに、コンタクトセンターの現状と課題を検証する。
コールセンタージャパン編集部では、「SV/リーダーの意識調査」(期間:2020年7月15日〜7月30日)を実施、インターネットアンケートで172名のSV/リーダーから回答を得た。集計結果をもとに、SV/リーダーの視点から現場の課題を検証する。
図は、緊急事態宣言が発令されている中での働き方について聞いた結果だ。37%は在宅勤務ができず、ソーシャルディスタンスを保つなど工夫を凝らしながら出社を継続している。「とくに何も変化がなく通常通り勤務した」という回答も9%あった。一方で、「オペレータも含めほとんどが在宅勤務に移行した」という回答が37%で、「マネジメントのみが在宅に移行した」ケースは6%。総じて在宅シフトできたセンターとできなかったセンターは、ほぼ半数ずつという結果となった。
在宅シフトやWebサポートの強化は、一朝一夕に実現できるものではない。とくにITインフラの整備には時間がかかる。しかし、現場はそれを要求している。今回は、「想定外の状況で構築が間に合わなかった」と納得したSVやオペレータも、他社事例を耳にしている現在、期待値が上がっている。ソーシャルディスタンスを保つなど、対症療法的な環境整備はもはや当然で、在宅シフトやWebサポートの強化といった取り組みが進まないことが理由で出社を強要せざるを得ないという状態が続けば、オペレータの不安を直接聞いてフォローするSV/リーダーにとってストレスが増すばかりだ。
アンケート結果を見ると、メンタルケアも不十分だったと言わざるを得ない。調整や見直しに追われるマネジメントにその余裕がなかったかもしれないが、労働集約型の職場であるコールセンターにおいて人のケアは最も重要視されるべき課題だ。現場を最もよく知るSV/リーダーは、そこに気が付いている。彼/彼女らの声を、ウィズコロナ時代のセンター運営に反映する機会が求められそうだ。
図 緊急事態宣言中の働き方(n=168)
Part.2 <座談会>
ウィズコロナ時代のSVに求められる
変化への「対応力」と安心感を与える「対話力」
新型コロナ感染症による影響で、現場は混乱しがちだった。こうした状況下では、SV(チームリーダー)の役割はより強まる。Part.2では、4名のSVが、普段から心掛けていることやコロナ禍における自身の役割の変化を振り返る。在宅シフトなど環境が大きく変化するなか、できるだけオペレータが不安を感じないよう、コミュニケーションを丁寧に重ねる姿勢が印象的だ。
Part.2の座談会でも、在宅シフトによる社内コミュニケーションの変化に戸惑うSV/リーダーの声が多かった。
ヤフーの松本瞳子氏は、「もともと月5回まで在宅勤務が可能だったのですが、定常的な在宅勤務となるとやはり通常時との違いを感じました。スタッフの仕事ぶりが見えないので、残業時間や休憩を取っているかどうかの可視化が大事だと感じます」と話し、コミュニケーションが活性化するような仕掛けを意識している。また、東京海上日動コミュニケーションズの小出祐子氏は、「在宅勤務で苦労したのは、エスカレーション業務」と説明。Skypeなどを使いできるだけオペレータにとって違和感のないエスカレーションのあり方を目指したという。
出席者(左より)
●小出 祐子 氏
東京海上日動コミュニケーションズ
損保第3コンタクトセンター
トップ・コーディネータースーパーバイザー
●藤岡 慎也 氏
テレコムスクエア
コンタクトセンター部門セールスオペレーショングループ
スーパーバイザー
●八倉 洋平 氏
NTTマーケティングアクト
MiraiZ松山
リーダースーパーバイザー
●松本 瞳子 氏
ヤフー
マーケティングソリューションズ統括本部
エージェンシー営業&サポート本部 セールスサポート部
アカウントプランニング スーパーバイザー