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2020年12月号 <わたちゃんのかすたま〜えくすぺりえんす>

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わたちゃん

「エフォートレス体験」がロイヤルティを生む

ISラボ 代表 渡部弘毅

 行きつけのジムのヨガレッスンの予約が、コロナ感染予防策のために複雑になり、ストレスを感じている、わたちゃんです。窓口に並ばせるというアナログな手続きがイマイチ理解できません。

 コールセンター(CC)のロイヤルティ向上には、エフォートレス体験とヒューマンタッチ体験に取り組むことが重要とされ、編集部主宰「5年後のコンタクトセンター研究会/ストラテジー分科会」でも、この2つの取り組みについて議論しています。

 そうしたなか、今年の「コールセンター白書」の消費者調査の中に、研究会のテーマとしての調査項目を加えました。調査した内容は、「CC応対開始前のエフォートレス体験」「CC応対開始後のエフォートレス体験」「CC応対開始後のヒューマンタッチ体験」の充足度と、お客様の企業に対する心理ロイヤルティ(NPS)への影響度合いです。充足度とは、端的にいうと「各体験で心地よい体験をどれくらいしているか」という視点で、5段階のアンケートで取得した結果で測りました。

 するとこの調査結果から重要な事実がわかりました。

<重要な事実1>
CC対応開始後のヒューマンタッチ体験は、3つの体験の中で充足度が最も高いが、心理ロイヤルティへの影響度合いは最も低い。

<重要な事実2>
CC対応開始前のエフォートレス体験は、3つの体験の中で充足度が最も低いが、CC総合満足度と心理ロイヤルティへの影響度合いは最も高い。

 この重要な事実を狩野モデルに基づいて考察したのがです。狩野モデルとは、1980年代に東京理科大学教授であった狩野紀昭氏によって提唱された、顧客満足度に影響を与える製品やサービスの品質要素を分類し、それぞれの特徴を記述したモデルです。この考察から言えることは、CCの効果的なロイヤルティ向上への取り組みは、心理ロイヤルティ向上=ヒューマンタッチ体験の向上と決めつけないで、まずは、(1)エフォートレス体験、とりわけ「応対開始前のエフォートレス体験」の充足度向上の取り組みを優先する、そして充足度がある程度高まった後に、(2)ヒューマンタッチ体験に磨きをかける、ということが重要だとわかります。

 ということで、僕のジムにはレッスン受付のインターネット化によるエフォートレス化を提案したいと思っていたのですが、仲良くなったシニアなオバサマ達と話をしていると、ネット化はすぐには受け入れられそうもありません。ヘタに提案しているところを見られたら仲間外れにされそうなので、我慢して並ぶことにします。

図 狩野モデルによる考察

図 狩野モデルによる考察


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