BtoC企業は「カスタマーハピネス」を目指そう!
ISラボ 代表 渡部弘毅
世界征服に成功して、万人が自分に従い、欲しいものがすべて手に入るようになった瞬間は、不幸の始まりだと思う、わたちゃんです。人間不自由があるから幸せを感じられるのです。
近年、お客様と企業の新しいWin-Winモデルとして、サブスクリプション型のサービスが広がりつつあります。サブスクリプション型が短期間に、かつ広範囲に普及したITソフトウエア業界、なかでも企業向けクラウドサービス業界では、この変革を受けて「カスタマーサクセス」という考え方が普及してきました。サブスクリプション型事業では、新規獲得より離反防止が経営面で重要になってきます。そのため、クラウドサービスベンダーは、提供するサービスのテクニカルサポートだけでなく、クライアントの事業成功、すなわち「サクセス」に寄与するサービスを展開していく必要があるというわけです。
カスタマーサクセスの考えは、企業向け事業のみならず、コンシューマを対象とした小売業やサービス業にも適用できます。例えば小売業では、「お客様に買っていただく」ことを目標としてさまざまな施策を展開しますが、もう一歩先の、「購入いただいた商品で豊かな生活を実現していただく」という目標を持つことです。これがカスタマーサクセスです。
こうした考えは、本来、日本人のDNA、すなわち日本の小売りの根底にある考えです。サザエさんに登場する三河屋のサブちゃんは、磯野一家の豊かな食生活を支援するために御用聞きをしているのです。しかしながら、大量生産・大量消費の名のもと効率化が優先された時代が続き、重要だけど優先順位が下がっているようにも思えます。それが今、重要性が再浮上してきたのです。
「サクセス」は企業向けサービスでは馴染みやすい言葉ですが、コンシューマ相手の場合は少し重たいため、「カスタマーハピネス」と命名した方がしっくりくるかもしれません。
カスタマーハピネスの重要性を再認識したとしても、古き良き時代に戻ることは容易ではありません。サブちゃんの御用聞きを復活させることは簡単ではないからです。
そこで登場するのがデジタル技術です。デジタル技術を使い、購入した後もお客様とつながり続ける環境を整備し、生活が豊かになる支援を提供していきます。「デジタルサブちゃん」の登場です。こうしたデジタル技術を使ったカスタマーハピネスを実現するモデルに変革することがDX(デジタルトランスフォーメーション)のひとつではないでしょうか。そしてその重要な役割を果たすのがコンタクトセンターということです。
ということで、生活者のハピネスを増やす政治家や企業が増えていくことを願っている今日このごろです。
図 カスタマーサクセス・ハピネス