<著者プロフィール>
職業:顧客経験価値にこだわる戦略立案&業務改革コンサルタント
過去勤めたことのある企業:日本ユニシス、日本IBM、日本テレネット
週末の過ごし方:
<ケース1>隅田川あたりをぶらぶら散歩して浅草で飲んだくれたあと銭湯で汗を流す
<ケース2>スポーツジムでヨガレッスンを受けて汗を流す
最近の悩み:昔は痩せの大食いだったのが、最近は小食の小太りになっていること
「DX」で負のストックを活かそう!
ISラボ 代表 渡部弘毅
独立して家を出てから何年も経って、しかも結婚までしている2人の娘の部屋をそのままにしていた、わたちゃんです。ほとんど使っていない倉庫代わりの部屋でも不自由はないのですが、もったいない状態でした。
少子高齢化に伴って増加する空き家に自治体は頭を悩ませています。総務省が5年ごとに実施する「住宅・土地統計調査」では、2018年の空き家数は全国で849万戸、総住宅数に占める空き家率は13.6%にものぼります。野村総合研究所のシミュレーションによると、20年後には5戸に1戸が空き家になる可能性もあるとのことです。
こうした空き家を有効活用すべく、さまざまな取り組みが行われています。
国土交通省は、高齢者や障碍者、生活困窮者の入居を拒まない「住宅セーフティネット制度」を推進しており、「空き家を住宅として提供しよう」という動きがあります。また、コロナ禍によるリモートワークの普及に伴い、民間会社が「空き家を複数拠点生活者に提供するサービス」を立ち上げています。さらには、クラウドファンディングで空き家をリノベーションして新たに販売する事業や、借り手のニーズ先行型で借り手と空き家の貸し手のマッチングサービスを手掛ける、新たな発想の不動産サービスなどが開始されています。
一般的には、空き家は地域の「負のストック」として考えられがちですが、知恵を絞り新たな活用を見つけ出すことは、その地域にとっては活性化にもつながります。こうした取り組みは、大量生産、大量消費型とは一線を画したSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)的な対策とも言えます。
「負のストック」は空き家に限った話ではありません。大量生産、大量消費時代で生み出された負のストックは企業にも消費者にも多く存在します。ブックオフやメルカリといったリユースサービスは、負のストックの有効活用をサポートしてくれています。
また、負のストック自体を発生させないようにする取り組みも重要です。シェアリングサービスはその代表的なサービスです。また、ファッション業界など、流行(トレンド)のある業種においては、大量の不良在庫を抱えることが社会的にも問題視されています。こうした事態には、企業だけでなく、消費者個人としても負のストックを生み出さないような心がけが必要です。新しいサービスやビジネスモデルの変革にはデジタル技術が必須となります。まさしく「DXで負のストックを解消!」を目指すことになるわけです。
ということで、我が家の負のストックも解消・有効活用すべく、娘が使っていた家財や書籍などをリユース市場に出し、倉庫部屋をおやじの仕事部屋にリニューアルしました。次は、コンサルティング業でストックされたコンテンツを「負のストック」にしないように、有効活用しながらYouTuberとして情報発信していきたいと考えています。厳しいかな……。
図 「負のストック」への取組み