<コーナー解説>
店舗など、コールセンター以外を含めた接客やサービスのプロにその心構えやノウハウを聞きます。
徹底的に寄り添い、前向きな言動を心がける
“大事な一日”を演出する名プランナーの仕事術
テイクアンドギヴ・ニーズ
麻布迎賓館
ファーストウェディングプランナー
松倉 みなほ さん
Profile
2007年、テイクアンドギヴ・ニーズに入社。5年間、出身地の長野県でウェディングプランナーを務め、チーフに昇格。その後大宮、青山の店舗で経験を積み、麻布迎賓館は3年目。同社で歴代十数名しか認定者のいない、とくに高いホスピタリティが評価された「ファーストウェディングプランナー」の称号を持つ。
「10年以上この仕事をしていますが、いまだに結婚式の当日は楽しみである一方で、怖いです」──そう打ち明けるのは、テイクアンドギヴ・ニーズ 麻布迎賓館 ファーストウェディングプランナーの松倉みなほさんだ。「結婚式は、主役のおふたりの人生に深く関わる行事。『こんなハズじゃなかった』が起きないよう、ひたすらお客様と向き合います」と真剣な眼差しで続ける。
「私の前でケンカになることも珍しくありません。ある意味では結婚式当日よりも、その日に到達するまでの経過のほうが、今後のおふたりにとって重要です」(松倉さん)──これは彼女自身の心掛けでもある。
「あなたの花嫁姿を見たかった」という言葉を最後に、母親を亡くした新婦がいた。友人の式に行くたびに、祝う気持ちと裏腹に後悔の思いがあったという。当日まで何度も悲しい記憶が蘇ったうえに、新型コロナ感染症が流行。結婚式が延期になると、「やっぱり幸せになれないのでは」と不安になった。そうした彼女の気持ちに、松倉さんは何度でも寄り添い、「式までにどんな過ごし方をするか、一緒に考えましょう」と、気持ちを前向きできるよう引っ張った。
当日、彼女の表情は晴れやかだった。悩み抜くなか、後悔の気持ちを浄化でき、乗り越えられたのだ。その心情は、「この気持ちをくみ取り、理解し、寄り添ってくれたあなたがいたから」と、新婦からのお礼の手紙にも綴られていた。
結婚式当日まで、張り詰めるほどまで顧客と向き合っている過程があるからこそ、当日の新郎新婦の幸せな笑顔や涙が何よりのやりがいになる。「プレッシャーや責任は重いですが、その分こんなにたくさんの人生に深く関われて幸せにできることが嬉しい」と、松倉さんは笑顔を見せた。