<コーナー解説>
店舗など、コールセンター以外を含めた接客やサービスのプロにその心構えやノウハウを聞きます。
失敗は明るく笑い飛ばしフォロー!
“できない”を“成功体験”に変える
パソコン市民講座
上野教室 教室長
多田 信子 さん
Profile
大手通信会社のコールセンターで派遣スタッフからスタートし契約社員に。SV業務を経験したが、リーマンショックの際に退職。その後、ホテルの執務を経験し、支配人を務める。接客業が好きなことやシニアを助けたいという思いから、2015年にチアリーに入社。パソコン市民講座の講師へと転身、2021年に上野教室の教室長に着任した。
パソコン市民講座 上野教室 教室長の多田信子さんは、自身が昔、パソコンができなかったことから、生徒と向き合う際は「失敗を笑い飛ばすこと」を大切にしているという。
生徒の多くはシニア層だ。「どうしても、できない」という生徒に対し、「私たち、そういう“お歳頃”だからね、頑張りましょうね」と生徒のネガティブな気持ちを、明るく笑い飛ばせる前向きさが多田さんの最大の強みだ。
パソコン市民講座は、映像配信によるサテライト授業と組み合わせている。生徒が選んだコースの映像授業を視聴、履修状況の管理や理解度のテストを経て、つまずいたところを対面でフォローする。
生徒は、それぞれ習おうとする意欲レベルもニーズも異なる。パソコンを習い始めたきっかけや、どういう説明をすれば理解が深まるのか──人柄や傾向を把握することが、的確なフォローにつながり、生徒の“できない”をフォローするカギにもなる。
例えば、「映像を見てもまったく頭に入らない」という生徒がいた。仕事で急にパソコンを使う必要が生じた背景もあり、気持ちばかり焦る傾向がみられた。そこでまず、「今、焦っていますね」と伝え、自身の状態を客観的に認識してもらった。それだけでも、大幅に集中力が改善される。そして、「できなくてここにいらしているのだから、大丈夫です。今は、できなくてもいいから、『どうせできない』と思わず、講座を見てください」と伝えたところ、「今日の授業はよく頭に入ってきました」と、笑顔で報告を受けた。
「どこが分からないのか」を論理的に突き詰めるだけではなく、「どうすれば理解を深められるのかがポイント」と、多田さんは適切なフォローの秘訣を明かした。