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<編集部コラム>シニア対応の「デジタルシフト」

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コールセンター/コンタクトセンターの運営課題として、「呼量削減」が浮上している(右図、クリックで拡大)。

本来、電話窓口としての機能や役割を持つコールセンターが呼量削減を目指すというのは、やや自己否定的な印象もあるが、人材不足、消費のデジタルシフトといったトレンドを鑑みるとやむを得ない課題設定といえるだろう。

そもそも、コールセンターを利用する消費者の多くは、電話をかける前にインターネットを検索して自己解決を試みている。それは世代を問わない行動だ。顧客満足(CS)、顧客体験(CX)の観点からも、そのファースト・コンタクトで解決できるに越したことはないという見方は確かに成立する。

具体的な手段としては、「よくある質問(FAQ)」「マイページ提供」「チャットボット」などに取り組むケースがほとんどだ。新型コロナ禍で消費行動がデジタルシフトした結果、この傾向が加速している。


「シニア」に自己解決してもらう方法

しかし、これで本当に呼量は減るのだろうか?

コールセンターに電話をかける消費者の多くを、高齢者層、つまり「シニア」が占める。シニアとは何歳から指すのか、という定義については各社各様だが、取材したところでは「65歳」あるいは「60歳」と回答する傾向が強い。しかし、「年齢で区切れるものではない。リテラシーや志向に応じて個別対応すべき」というセンター・マネジメントや識者も増えている。

それでもあえて定義つけると、「60歳、あるいは65歳以上で、ネットより電話を好み、かつコールセンターで蓄積してきた対応ノウハウが通用しにくいリテラシーの顧客」が、カスタマーサービスを提供する側から見たシニアと考えてよさそうだ。

本気で呼量を減らすには、積極的に電話をかけてくる、こうしたタイプの顧客が自己解決できる仕組みやコンテンツを用意する必要がある。単にFAQを強化し、チャットボットを導入しても、使うユーザーが若年層、あるいはもともと平均以上のリテラシーを持つ消費者だけでは、呼量は減らない。


シニア層にデジタル手段を使ってもらうための具体的な取り組み事例としては、(1)操作方法を教える専用窓口やスクリプトを用意して、「電話」で啓もうする、(2)ホームページの色使い、フォントをスマホサイト含めてシニア仕様に見直す、(3)動線の工夫(とくに「戻る」機能のわかりやすさ追求)、(4)動画コンテンツの活用、(5)ボイスボットの活用、(6)「LINE」の積極的な活用、などがある(右図、クリックで拡大)。

増加する「デジタルシニア」

2019年の「通信利用動向調査」(総務省)では、すでに60歳代で約8割、70歳代で約6割がインターネットを利用している。顧客接点のデジタルシフトを実現する土壌は、すでに整っているのだ。

シニアのデジタルシフトは、コールセンターだけではなく、社会的な課題である。しかし、顧客接点であるコールセンターが果たすべき役割は極めて大きいはずだ。コールセンタージャパン3月号特集でポイントを検証する。

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