<著者プロフィール>
職業:顧客経験価値にこだわる戦略立案&業務改革コンサルタント
過去勤めたことのある企業:日本ユニシス、日本IBM、日本テレネット
週末の過ごし方:
<ケース1>隅田川あたりをぶらぶら散歩して浅草で飲んだくれたあと銭湯で汗を流す
<ケース2>スポーツジムでヨガレッスンを受けて汗を流す
最近の悩み:昔は痩せの大食いだったのが、最近は小食の小太りになっていること
シニアのデジタルシフトは焦らず丁寧に!
ISラボ 代表 渡部弘毅
スポーツジムでは、いつのまにかシニアなオバサマたちのスマホ操作ヘルプデスク的な役割を受け持つこととなり、意外とモテモテのわたちゃんです。この前は、お礼に柚子のプレゼントがありました。しかし、自分では使ったことのない「らくらくホン」の細かい操作を聞かれてもわからないことが多く、苦労しています。
コールセンターの現場では、コロナ禍における他業界の業務縮小により採用難が一時的に解消されましたが、2021年秋頃から再度、採用難が始まったそうです。そんな背景もあり、コールセンターにおいて「呼量削減」が最重要課題として挙げられています。
そして、呼量削減の救世主的な切り札として、お客様の疑問や問い合わせに対してセルフサービスによる自己解決の仕組みを導入することが盛んに行われています。具体的にはWebやスマホを通じての公開FAQの充実、検索機能の強化、LINE、チャットボット、ボイスボットなどのデジタルサービス化を推進することです。
コールセンタージャパン2022年3号に興味深い特集記事を見つけました。「呼量削減の絶対条件 シニアのデジタルシフト」と題して、呼量削減には電話対応の多くを占めるシニアに的を絞った対策を打たないと効果がないことと、具体的な対策方法、成功事例などが紹介されています。
詳しくは記事を読んでいただくとして、とくに共感したのがシニアに有効なチャネルとして、LINEとボイスボットの活用です。LINEの利用率は高く、実際、自分の回りでもほとんどのシニア層がLINEを使っています。問い合わせ対応やジムの予約手続きなどではLINEを利用したセルフサービスの推進が有効です。それからボイスボットです。電話対応に慣れ親しんだシニア層を徐々にセルフサービスに移行する手段としては最適で、特集記事の中ではシニア世代がメインのカゴメの通販事業において、注文の電話受付の25%をボイスボットで受けた事例もあるようです。
しかしながら、記事では急激的、強制的なデジタルシフトには警鐘も鳴らしています。重要なのは、呼量削減を焦るあまり、CX(カスタマーエクスペリエンス)を犠牲にしないことであり、顧客の利便性を軽視したかのような強制的なデジタルシフトは、満足度やロイヤルティを下げる可能性が高い、ということを肝に命じる必要があります。
ということで、僕もオバサマたちのデジタルシフトのお手伝いは焦らず、ゆっくりご支援していこうと思います。「おかあさん、毎回ここでつまずいているよね〜。この前教えたじゃない!」などの発言は控えて、気長に丁寧に会話することにつきます。やがて自分もその立場になるんですから。
図 シニアサポートでのLINEとボイスボットの特徴