エフォートレス体験向上の「切り札」組織
「CRE」が果たす役割と成果
アソビュー
カスタマーサポート部 部長
髙畠 さやか 氏
予約サイト「アソビュー!」を運営するアソビューは2021年、サポート業務の課題をAIツールで解決する「CRE(Customer Reliability Engineering)チーム」を創設。エンジニアとサポート部が協力し、顧客体験の向上を図っている。カスタマーサポート部 部長の髙畠さやか氏に、CRE推進のポイントを聞いた。
Profile
髙畠 さやか 氏(Sayaka Takahata)
アソビュー カスタマーサポート部 部長
神奈川県川崎市出身。2004年にガイアックスに入社し、投稿監視、学校裏サイト監視、ソーシャルアプリサポート事業を立ち上げ、日本3拠点・海外1拠点の運用センターの運営を経験。2021年1月にアソビューに入社以降、カスタマーサポート部長を担当。AIツールの導入に向け、「CRE(顧客信頼性エンジニアリング)」の推進を図る。
──遊びの予約サービス「アソビュー!」の概要を教えてください。
髙畠 「アソビュー!」は、レジャースポットや遊び体験できる施設と利用者をマッチングするプラットフォームサービスです。利用者は、旅行先の観光スポットや水族館・動物園などの施設をサイトやアプリ上で検索できます。スマートフォンを使って電子チケット形式で入場予約できるため、事前の発券は不要です。「アソビュー!」以外にも、レジャー施設向けにチケット販売管理・予約管理のSaaS事業のほか、集客や業務効率化の向上を目的としたDX支援も行っています。
──新型コロナウイルスの感染拡大によって、レジャー産業も大きく影響を受けたと思われます。
髙畠 レジャー産業は大打撃を受けました。一時期は当社も存続の危機に瀕しましたが、日時指定の電子チケットシステムをリリースし、コロナ禍のレジャー施設運営をお支えできるようになり、事業低迷から脱却できました。その分、カスタマーサポート部へのお問い合わせ数も大幅に伸びたため、これまで通りの数名程度の少数精鋭体制では成り立たなくなりました。夏休みやゴールデンウィークといった長期休暇にお問い合わせが集中するため、繁閑差に応じて調整できるよう、BPOに委託し、繁忙期に数十名規模で対応する体制に転換しました。
──コロナ禍はレジャー産業で急速にDXが進むきっかけになったようですね。CX(カスタマーエクスペリエンス)向上のための取り組みや課題についてお聞かせください。
髙畠 私は、アウトドア・アクティビティ専門予約サイト「そとあそび」を運営する「株式会社そとあそび」の事業譲渡に伴ってアソビューに入社しました。
カスタマーサポート部門に配属された当初、顧客対応は単一フォーム上に届くお問い合わせの返答がメインでした。もっとも多かったコールリーズンが、「チケットの購入が済んでいるのに施設に入れない」といったレジャー施設に入場する直前のお問い合わせでした。即時回答を求められるケースが多く、FAQサイトを閲覧せずに問い合わせるお客様も少なくありません。休前日の夜間や朝方のお問い合わせも多いため、営業時間外でもCSを低下させないサポート体制が必要でした。急速に増えるお問い合わせに人的リソースのみで対応するには限界があり、サポート体制の抜本的な見直しが迫られていました。
そとあそび以前は、BPOとしてサポート業務に携わり、当時はオペレーションの改善が自社の利益に直結することから、テクノロジーを活用して現場の生産性とCXを高める取り組みを進めました。その前職で培った業務効率化の観点から、アソビュー!のカスタマーサポートを立て直したいと思い、CRMチームを立ち上げました。そこで注力したのが、「CRE(Customer Reliability Engineering:顧客信頼性エンジニアリング)」です。
(聞き手・彦坂宗次郎)
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