モチベーションを高め、離職を防ぐ
「従業員幸福度調査」のススメ・後編
カルチャリア 代表取締役 奥山由実子
従業員幸福度の基本的な考え方は、「幸福を感じている従業員ほど、生産性やモチベーションが高く、組織に対して献身的である」というものだ。限られたリソースで、利益を最大化するためにも、従業員の幸福度を高める施策が必要だ。後編では、幸福度を可視化する「従業員幸福度調査」の実施で注意すべきこと、従業員幸福度を上げるための具体的な取り組みについて解説する。
従来、コールセンターの多くが、ES(従業員満足)を高める取り組みを積極的に行ってきた。その狙いや目的には、「おもてなしの実践に、従業員のメンタルヘルスケアは欠かせない」「離職予防の一環」などがある。
しかし、ES向上施策のほとんどは“不満の解消”にとどまっている。それだけでは、従業員のパフォーマンスを最大化する、収益貢献への意欲を高めるといった効果までは望めない。
従業員は心身が満たされ、幸福度が高まると、「この会社のために頑張りたい」というロイヤルティが醸成され、自然と生産性が上がり、収益に貢献する(図)。
労働人口の減少が明白な時代、生産性向上やパフォーマンスの最大化はすべての企業にとって不可避の課題だ。企業は、従業員の幸福度の把握と向上に真剣に取り組んでいく必要がある。
従業員幸福度の調査項目は、前編で述べた。今回は、実施時の留意点と評価結果の具体的な活かし方を解説する。
図 満足度だけではなく幸福度も重要
※画像をクリックして拡大できます