「ITの専門家以外」が使えるAI
その懸念点と適用領域・②
2023年8月24日
ChatGPTをはじめとした生成AI(Generative AI)の登場がもたらす変化をどう受け入れるのか。AI活用は、競争力の源泉だ。「時流に乗らない」ことのリスクは大きい。事業部門にありがちな「自分たちはITの専門家ではない」という姿勢では、市場から取り残される。本稿では、事業開発を生業とする筆者が、生成AIの概要、コールセンターでの適用領域の見極め方を解説する。
Profile
AI Booster
代表取締役
小栗 伸
NTTドコモにて、ドコモショップ2300店舗に導入した「AI電話サービス」をはじめ12のAIプロジェクトを製品化・事業化。NTT DegitalでWeb3事業創出に取り組む傍ら、AI Boosterを設立し生成AIを活用したソリューション提供、導入支援に携わる。
生成AIの活用イメージが湧かない?
生成AIを活用・検討している企業は6割を超えている(https://news.yahoo.co.jp/articles/2cb9bfd049b1d0c5f129560815b8559136752987)。一方で、生成AIを「うまく活用できていない」もしくは「現時点で活用イメージが湧かない」という声も多い。そこで実際に業務に携わっている方が、生成AIの活用イメージを持っていただけるよう、押さえておくべきポイント、コールセンター業務における活用例、具体的な利用手順、課題の発見方法と生成AIの適用領域の見極め方について順に解説する。
生成AIを活用する上で押さえておくべきポイントは次の2つがある。
①ハルシネーション
生成AIは、技術的な特性から「事実とは異なる内容」や、「文脈と無関係な内容」を生成することがある。この現象をハルシネーション(幻覚)と呼ぶ。出力結果が正確かは、人が判断(ファクトチェック)する必要がある。具体的には、生成AIに対してより詳細の条件を伝え回答させて比較する、他サービスを使って検索して確認するといった方法がある。
②著作権、個人情報の扱い
生成AIへ入力する情報、出力結果の著作権、商標、個人情報、機密情報などの扱いについて留意する必要がある(図)。例えば、本人の同意を得ておらず個人情報を生成AIに入力できない場合でメールの対応文章を作成するには、個人情報を含まない範囲で生成AIを利用しメール文案を作成し、その案をベースに、自身で個人情報を追記してメール文を完成させるといった方法もとることができる。
図 著作権、個人情報などに関して留意すること
第1回 第2回