“金額”で示す!
コールセンターの「経済的価値」
Part.1 <現状と課題>
応答率やCSでは測れない「コールの価値」
可視化する“判定表”の作り方
「応答率やサービスレベルには興味がない」「CSが数ポイント向上しても売り上げは変わらない」──こう考える経営者は多いはずだ。「コールセンターの価値」を高めるには、業務改善の成果を誰もが理解できる“共通言語”である金額で示すことが早道となる。その基盤となる“個々のコール価値”をどう判定するか、考え方と方法論をまとめる。
応答率、サービスレベル達成率、AHT(平均対応時間)、ACW(平均後処理時間)、CPH(1時間あたりコール処理量)。コールセンターは、こうしたKPIによる計数管理が実践されている。当然、さまざまな業務改善の成果も、この数値で示される傾向が強い。
ところが、これらのKPIは、コールセンター以外のビジネスパーソンにはほとんど馴染みがない。現場が最も重視している「応答率」をアピールしても、社長をはじめとした経営陣や関連部門のマネジメントには響かない(図)。
図 現場と経営陣の意識のギャップ
(出典:コールセンター白書2016)
これらのKPIはコールセンターにおける「ローカル言語」であり、改善の成果を理解してもらうには、“共通言語化”する必要がある。すべてのビジネスパーソンが理解できる共通言語──それが「金額」である。
コール個々の「価値」を測ったうえで改善に着手すれば、その成果を誰しもがわかるカタチで示すことも容易だ。応答率やCSの先にある「真の成果」を示す考え方と方法論をまとめる。
Part.2 <ケーススタディ>
現場に「経営貢献」文化を根付かせる
事例に見る“金額換算”できる取り組み
コスト削減は「当然」、VOCには「無関心」──経営層や他部門が認めるコールセンターの貢献は、アップ/クロスセルや離反防止といった直接的な収益に限られるというケースは少なくない。間接的な経営貢献は、コールセンター自らが数値化し、現場のKPIと経営指標とを相関させて示すべきだ。それぞれの手法で、経営が一目置く「業績」を示した3社の取り組みを紹介する。
コールセンターが、その経済価値を示すことは決して容易ではない。だが、それをしない限り、投資を引き出したり、優秀な人材を確保することも難しくなり、結果、組織の価値を落とすことにつながりかねない。
これまでコールセンタージャパン誌で紹介した主要な事例をみると、各社ともさまざまな取り組みと工夫で“業績”を示している。大きく、(1)売上向上、(2)コスト削減、(3)商品/サービスの開発/改善──の3つに分類できる。
本稿では、現場のKPIと経営指標を相関分析し、継続的にレビューすることで現場の意識を高めたアメリカン・エキスプレス・インターナショナル、顧客/商品のDBを構築して解約阻止で数億円の貢献を果たしたWOWOWコミュニケーションズ、改善機会を逃さぬよう他部門との情報共有を徹底しタイミングよく伝達することを心がけたVOC活動を実施するサンスターの3社の事例を紹介する。
CASE STUDY 1:アメリカン・エキスプレス
現場のKPIと経営指標を相関分析
継続レビューでセンターの意識高める
アメリカン・エキスプレス・ジャパンの武蔵 充社長
CASE STUDY 2:WOWOWコミュニケーションズ
顧客/商品のDBを構築
解約阻止で“億単位”の貢献
WOWOWコミュニケーションズ 企画部マーケティング課の小池 武氏(左)と渡邊 博課長
CASE STUDY 3:サンスター
VOCは「代弁」ではなく「伝達」
心で感じさせ改善サイクル促す
サンスター ダイレクト営業部通信販売 お客様センターの山下由美センター長