“HR Tech時代”に求められる採用競争力
成否を分けるスピードとIT知識
ツナグ働き方研究所
所長
平賀 充記 氏
「バブル期を超える有効求人倍率となり、HR Techが台頭する今、従来型の手法を繰り返すだけでは人が採用できなくなっています」──リクルートで一貫して“アルバイト採用”媒体に携わってきた平賀氏は強調する。採用環境の変化に伴い採用担当者に求められているスキルや採用力を高める具体的な施策を聞いた。
Profile
平賀 充記 氏(Atsunori Hiraga)
ツナグ働き方研究所 所長
1988年リクルートフロムエー(現リクルートジョブズ)入社。「FromA」「タウンワーク」「とらばーゆ」「ガテン」などの全国統括編集長、ダイバーシティ転職サイト「はたらいく」を立上げメディアプロデュース統括 部門担当執行役員に就任。2014年ツナグ・ソリューションズ取締役就任。2015年ツナグ働き方研究所を設立、所長に就任、今に至る。
──この異次元の採用難の状況下で“採用力を高める方法”を教えてください。
平賀 よくある誤解が、「採用コストを増やして露出量を増やせば応募は増える」というものです。求人倍率からも分かるようにこの人手不足時代、かけたコストに比例して応募が増えるという見返りは期待できません。採用プロセス自体を見直し、“採れたはずの人材”の取りこぼしを防ぐ方が効果的です。母集団拡大ではなく採用率の向上に重きを置くという意識が必要です。
一般的に、パートやアルバイトで就業先を探す場合、「どうしてもここで働きたい」と応募するケースは稀です。他社で先に採用が決まればそちらに行こうとする心理が働くのは明らかです。
実際、当社が行ったパート・アルバイト就業者3000名を対象にした「仕事探しから採用までのプロセス」調査でも同様の結果が出ています。「応募から面接までの理想のタイミング」について、80%が「2〜3日以内」、40%が「翌日以内」と回答しています。実感値としては当日中の対応が必須です。
応募者を“待たせる”ことが
採用力を大きく下げている
──対応スピードを遅らせている要因は何でしょうか。
平賀 新卒や中途即戦力の採用が企業の人事部門で行われるのに対し、パート・アルバイトの採用は現場担当者が業務の片手間に行うケースが大半です。結果、応募者への対応が後手に回りがちで、タイミングが合わなくて採用できたはずの人材を逃してしいることはかなり多いのが実情です。“常識”となっている採用体制そのものが、スピード採用を阻害する大きな要因になっているのです。
調査でも、「面接をキャンセルしたことがある」あるいは、「採用を辞退したことがある」という回答者に理由を聞くと、いずれも「他社で採用が決まった」が過半数を占めました。また、「応募後の最初の連絡が遅かった」という回答は17%を占めています。応募から面接、採用までのスピードを速めることで、採用力は確実に高まります。
(聞き手・嶋崎 有希子)
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