<コーナー解説>
店舗など、コールセンター以外を含めた接客やサービスのプロにその心構えやノウハウを聞きます。
要・不要を決めるのはお客様
営業トップクラスに導いた「尻込みしない姿勢」
ヤクルト販売
ヤクルトレディ
杉山 桃奈 さん
Profile
高校卒業後、人と話すことが好きな外向的な性格を活かし、飲食店などの接客業を経験。双子の出産を経て退職したが、ヤクルトレディのスカウトをきっかけに、2016年12月にヤクルトレディとして活動を開始した。東京23区を中心にヤクルトなどの販売を行う、東京ヤクルト販売のヤクルトレディのなかで常に売上成績はトップクラスだ。
「ヤクルトレディ」は、一般住宅や企業を訪問し、ヤクルトなど乳酸菌製品の配達や販売のほか、新規開拓業務も担う同社の“メインキャスト”だ。
杉山桃奈さんは、6歳の双子を育てるお母さん。一方で、東京ヤクルト販売のヤクルトレディのなかで、トップクラスの営業成績を収めるスーパーレディの顔も持つ。
「いまやネットで欲しいものを何でも買えてしまう時代です。そのなかで、私を介して買うメリットは何か。それを突き詰めて考えています」と、杉山さんは真剣な表情で語る。
たわいのない会話のなかに質問を挟み、生活のなかで抱えている悩みを聞く。仕事の疲れや愚痴が出た場合は、ストレス緩和の機能がある商品を薦め、体調が優れず便秘ぎみという話が出れば、お通じ改善機能のある商品を提案する。こうした提案活動は、押し売りの印象を与えないように、相手からも積極的な質問が出るかなど、「話したそうにしているか否か」を見極めることが重要だ。
企業が在宅化したコロナ禍だが、むしろ新規開拓の追い風になったという。ただし、自宅で会議をしている最中にチャイムを鳴らしてしまい、「帰ってくれ」と顧客を怒らせてしまうこともある。冷たくあしらわれることも珍しくない。しっかりと謝り、「またお伺いします」と場を改める。杉山さんは、「まったく思い悩まないわけではありません」と声を落としつつも、「その時は偶然、タイミングが悪かっただけという可能性もある」と考えるようにしている。実際、最初の出会いで上手くいかなくても、そこから親しくなった顧客は多い。「私の訪問を待っているかもしれない」とポジティブな気持ちを持って、「あの時は失礼致しました」と再チャレンジする。この打たれ強さが、杉山さんの強みだ。