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2023年4月号 <インタビュー>

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道下 剣志郎 氏

ビジネス機会を活かすには「安心感」が最優先
メタバースに求められるルールと法律

SAKURA法律事務所
代表弁護士
道下 剣志郎 氏

メタバース市場が2026年度には、1兆円規模へ成長するという予測もある。一方で、法整備は追い付いていない。メタバース上の知的財産保護に関する法律改正案が、ようやく国会に提出されたばかりだ。明確なルールが存在しないなか、企業が取るべき対応と配慮すべきポイントについて、最先端法務分野の専門家に聞いた。

Profile

道下 剣志郎 氏(Kenshiro Michishita)

SAKURA法律事務所 代表弁護士

2017年、弁護士登録(第一東京弁護士会)。西村あさひ法律事務所に勤務後、SAKURA法律事務所開業。会社法・金融商品取引法をはじめ企業法務全般を得意とする。国内で先駆けてメタバースやNFTなどの最先端法務分野を多数扱う。内閣府知的財産戦略推進事務局 メタバース官民連携会議 有識者など行政や民間のアドバイザーも務める。

──「メタバース」のビジネスにおける可能性が拡大しつつあります。道下先生が、メタバースの運用指針を整備するガイドラインの策定に関わられた経緯を教えてください。

道下 弁護士として最初に所属していた西村あさひ法律事務所では、主に企業法務全般、危機管理、コンプライアンス・ガバナンスなどに関する案件に携わっていました。将来的な企業活動の中でも、インターネット関連の技術やサービス、ビジネスモデルが大きく発展すると予見し、先駆けて最先端法務分野を手掛けて参りました。

 このような地道な活動が評価され、昨年にメタバース上の知的財産権などを検討する官民連携会議に声を掛けられ、有識者として参画。「バーチャルコンソーシアム」で、メタバースの運用と利用指針を整備したガイドライン(バーチャルシティガイドライン)の策定に携わりました。

──ガイドラインは、どのようなことを意識して策定したのでしょうか。

道下 現時点では、メタバース上の活動を制限する法律や規定はありません。しかし、現実世界での法律の考え方や規範、価値観を適用することは可能です。例えば、メタバース空間にある作品は、技術的にはコピーが可能です。しかし、民法には、デジタルコンテンツに関する所有権等の規定は、制定されていません。

 このように、既存の法律や制度が適用できる事柄を踏まえてガイドラインを制定し、利用規約を作るべきという指針を打ち出しました。

──時間がかかりそうですね。利用者が増え続けている以上、あまりゆっくりはできないと思うのですが。

道下 法律が作られるのには、時間もかかります。現段階では、メタバース空間を提供するプラットフォーマーが規約を策定することが、最適だと考えられます。事例が積み重なっていくなど、民間のポートフォリオの積み重ねが、法律化を後押しすると思います。

(聞き手・荒木 世理子)
続きは本誌をご覧ください

 

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