不正事件に垣間見える「業務委託」の盲点
アウトソーシング活用の鉄則
未曾有の採用難、人手不足を背景に、BPO(ビジネスプロセス・アウトソーシング)や人材派遣のニーズが高まっている。その市場の盛り上がりに水を差す事件が起きた。人材派遣大手のパソナが再委託した新型コロナワクチンの受付センターで、虚偽報告に基づく水増し請求が発覚。たびたび繰り返されるBPOベンダーの不正はなぜ発生するのか。業務委託のポイントとあわせて再検証する。
またもやコールセンターの業務委託において虚偽報告と不正が発覚した。
事件の舞台となったのは、枚方市、西宮市、吹田市の新型コロナワクチン受付業務だ。いずれも人材派遣大手のパソナが受託し、大阪に本社を持つBPOベンダー、エテル(大阪市中央区)に再委託。その再委託先センターで契約数を大幅に下回るオペレータ数で運営、エテルがパソナに対し虚偽報告し、パソナはその報告をもとに3市に請求。過大請求額はトータル10億円を超えるという。
現在、BPO(業務委託)のニーズは高まっている。全国的な人手不足を受けた人材供給源として、あるいはカスタマーエクスペリエンス(CX)のプロフェッショナルとして、さらに高次元なパートナーシップを求められるケースも多い。
しかし、たびたび発生するこうした不正事件は、BPOベンダーに対する信頼のみならず、コールセンターという職場のブランド価値をも低下させてしまいかねない。
今回の事件、あるいは過去の事件を教訓に、BPO活用のポイントを再整理する。
図 虚偽報告と課題請求の構造
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