「技術力」「人材力」が結実したソリューション
目指すはCX向上をもたらす「高付加価値BPO」
富士通コミュニケーションサービス
代表取締役社長
金井 美紀和 氏
PROFILE
金井 美紀和 氏(Kanai Mikiwa)
1998年6月富士通入社。インフラサービス事業本部サービス企画統括部インフラサービスコンタクトセンター長を経験した後、マネージドインフラサービス事業本部サービス企画・改善統括部部長、などの要職を歴任。2022年4月より現職。
富士通コミュニケーションサービスは、企業向けヘルプデスクサービスを提供するサービスプロバイダーとして事業を開始。500社以上に富士通グループの強みを活かしたICTサポートと、コールセンター運営のサービスを提供した実績を誇る。概況や展望を、社長就任から1年が経過した金井美紀和氏に聞いた。
──BPO市場の概況をどう見ていますか。
金井 ほとんどのBPOベンダーには、“お客様の要望や期待には絶対に応える”という信条があります。しかし、それがときに独自の提案力や現場での柔軟性を欠く要因となり、予期せぬ事態を生んでしまうこともあるようです。
当社の強みはあくまでIT技術に基づく提案力です。昨年、社長に就任してからは、その方向性を見失わないよう、他社との差別化やクライアント(お客様)に訴求するポイントを精査してきました。今後も、さらに高いレベルのIT活用提案と同時に、顧客体験を向上させるアプローチを強化していく考えです。
──具体的には。
金井 AIを活用して顧客体験の痛点を分析するツールを開発しました。コールセンターに蓄積したVOCと、他の顧客接点のCXを包括的に分析、可視化するツールです。これらを含む、クライアントを総合的に支援するソリューション「Design for CX」を2020年に提供開始しています。VOC分析やナレッジマネジメントなど、コンタクトセンターに蓄積したデータをもとにCX向上を図る28種類のツール群を備えています。
──人材面での訴求点は。
金井 昨年は「変革元年」と銘打ち、コンタクトセンターをはじめとする多くの部署を見て回りました。そこで感じたのが、当社スタッフの“お客様が本当に困っていること”を突き止める感性や、対応力の高さでした。
こうした、IT技術者の多い当社ならではの“課題を深掘りする力”を発揮したコンサルティング領域も拡大し、クライアントを課題解決へと導く体制を強化する方針です。
──今年度の戦略は。
金井 今年4月には横断的に組織を支え、より高い次元でDXとCXを推進する体制へと組織変更しました。もちろん、人材育成にも着手しています。データサイエンスをはじめ統計学、ITツール、顧客への提案スキルを習得するプログラムです。このプログラムの対象を年内には全社員へと拡大、スキルの平準化を図ります。生成AIにより応対の自動化は加速します。こうした状況も見据え、AIでは対応できない業務を遂行できる人材を育成するとともに、雇用創出にも取り組みます。
さらに“変革”という言葉が社内にも浸透し、士気も一段と上がっています。今年をチャレンジの時と捉え、本体となる富士通や、パートナー企業との連携を強化し、新たな機会を創造していきます。こうした取り組みに賛同してくださるクライアント企業を増やしていくことにも、まい進します。