EDLPの価値は安さだけでなく「安心感」なのです
ISラボ 代表 渡部弘毅
店じまいセールと宣伝しているのに、「新商品入荷しました!!」と売り子が言っているし、いつまでたっても閉店しないアメ横の靴屋は怪しいと思っていた、わたちゃんです。月に1度「新装開店セール」と言うわりには、何が変わったのかわからない店も同様です。
身の回りのモノやサービスの価格が上昇しつつあります。長く物価下落の「主犯」とも言われたデジタル家電や情報機器に底入れ感が出てきた上に、円安による輸入原材料の高騰を受け、食品や外食の本格的な値上げも頻繁に行われています。
また、見送りはされましたが、昨年の消費税アップ騒動も加わり、隠れた便乗値上げもあるようでアベノミクスの恩恵が従業員まで回ってきている企業の社員ならまだしも、消費者には厳しい状況になっています。
EDLPとはEveryday Low Price の略で、特売期間を設けず、各商品を年間を通じて同じ低価格で販売する価格戦略のことです。しかし、EDLP戦略を取っているスーパーは「低価格」という価格価値のみを提供しているわけではありません。
EDLPに対して、特売価格で集客を図り特売品以外も購入させる手法をHILO(High-Low Priceの略)と呼ばれています。HILOは赤字覚悟の値付けをするため、EDLP戦略をとっているスーパーより低価格な品も多くあります。
図 EDLP vs HILO
EDLPは「1年間のトータルで見ると、特売品を買いまわるよりもお得!」と訴求しています。瞬間的な価格よりも「このお店は、いい品物をリーズナブルな価格で常に提供している」という安心感を提供しているのです。特売目当てに来店誘導するというような販促費を、低価格実現のために使い、顧客もそのEDLP戦略を理解し支持するという相互理解の関係を構築することに成功しているというわけです。EDLPで有名なのはウォルマートであり、HILOは日本の地場スーパーマーケットが得意とする手法です。
このように考えるとEDLP戦略は夫婦関係で言うと、「他の家庭のダンナは素晴らしく見える時もあるが、今のダンナを信頼していくのが結局は人生で得するよ!」といったところでしょうか。日々の行動でグダグダ言われたら、「おれはEDLP戦略でおまえを守っているんだ。安心して俺についてこい!」と言ってやりましょう。
ただし、強気に出すぎてオクサマが特売探しから帰ってこなくなっても責任は負えません。