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今日から始めるメンタル・ケア One Point Lesson 第4回

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意識的に呼吸しよう

著者:きゃりあす 奥 富美子
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  「ちゃんと息をしているから大丈夫ですよ」

 知人が、入院中に過呼吸で苦しい時、看護師さんにこう言われたそうです。
「息をしている限り、以前のようにいきいきと暮らせるチャンスはきっとくる」そうおぼろげに思ったと聞きました。
今はすっかり元気で、この時に思った「いきいきと暮らす」を実践しています。

 「息」をしているから「生きている」というのは、当たり前のことですがありがたいことです。

 「息」という字を見てみましょう。「自」と「心」で成り立っています。
「自」は、「鼻」の形を表してできた文字です。
自分を指すのに鼻を指さすことから「自分」の意味になりました。

心臓の象形が「心」です。
「息」は「自分」の「心」です。息を整えるのは、心を整えることに通じます。

 コールセンターで毎日電話応対をしていると、理不尽なことを言うお客様に腹が立つこともあるでしょう。
「決して自分が非難されているわけではない。これは製品に対してなんだ。会社に対してなんだ」と頭では分かっていても、鼓動は速く波打ち、不安からのどはカラカラになります。

そんなとき、気持ちの切り替えが必要です。
そのためには「呼吸」です。

 「呼吸」は、「呼:吐く」、「吸:吸う」と書きます。
「吐く」ことを先に表現しているのは、「吐く」方が重要だということ示しているためです。

『呼吸の本』(加藤俊朗著、谷川俊太郎著)には、「長息(ながいき)は長生(ながいき)」という言葉があります。
「不健康な状態だと呼吸が速くなったり乱れたりしている。

自分で気づかないうちに息のしかたが呼吸(こきゅう)ではなく、吸呼(きゅうこ)になっている。
不健康な状態だと、どうしても胸や肩で息をし、気が上がり、速く浅い呼吸になっている。」と記されています。

 速く浅い呼吸では、怒りの気持ちも不安の気持ちも落ち着くどころか、ますます増大していきます。

息を吐きましょう。
苦しいことや大変なこと、イライラや不安を「ぜ~んぶ、捨ててしまえ~!」と思いながら、息を吐いてください。

 背筋を伸ばして椅子に腰かけます。
お腹(下腹部、おへその下あたり)をへこますように意識しながら吐きます。

口からふ~っと、ゆっくりと、長~く吐きます。そして、今、身体に入っている息を全部出し、吐き切ってしまいます。
吐き切ったらお腹を緩めます。すると自然に息が入ってきます。このとき、下腹部がぷ~っと膨らんで息が入った感覚も忘れないでください。

もう一度息を吐きましょう。
膨らんだお腹をへこますようにゆっくりと吐いて、吐き切ります。
お腹を緩めれば、息が入ります。

こうした呼吸を、意識的に行うようにしましょう。

呼吸をすることで、身体に新鮮な空気がいきわたります。

 生きている限り「呼吸」が止まることはありませんが、意識で質は変わります。

 仕事中、生活のなかで「意識的な呼吸」を心がけ、「長息」で健康を保ちましょう。

(コンピューターテレフォニー2013年5月号掲載)

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