リラックスをイメージする
著者:きゃりあす 奥 富美子
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絵本『フレデリック ちょっと かわった のねずみの はなし』(レオ・レオニ著 谷川俊太郎訳)のお話です。
4匹の小さなのねずみ達は、冬に備えてとうもろこしや木の実、小麦、藁集めに昼夜なく働いています。
フレデリックだけは別で、「寒くて暗い冬の日のために、おひさまの光を」「冬は灰色だから色を」「冬は長いから話の種もつきてしまう。だから言葉を」集めていると言います。
やがて冬が来て雪が降り、食べ物はなくなり、凍えそうでおしゃべりをする気にもなれない。そのとき、のねずみたちは、フレデリックが言ったおひさまの光や色や言葉について思い出します。フレデリックは言います。
「目をつむってごらん。きみたちに、おひさまをあげよう。ほら、感じるだろう。燃えるような金色の光」
みんなは、だんだんあったくなってきました。
「もういちど、目をつむって」と、こんどは色の話です。みんなは心の中に塗り絵でもしたように、はっきりといろんな色を見ます。
そして、言葉。フレデリックは4匹のねずみが大活躍しているお話をします。終わるとみんなから拍手喝さいです。
私たちは、「イメージする」ことができます。
たとえ今日が雨ふりでも、まぶしい日差しをイメージすることはできます。満開のバラの花の小道を歩いていることをイメージしてその香りを感じることも、焚火の燃える火をイメージしてパチパチと火花の音を聴くこともできます。
どんなとき、何をしているときにリラックスしますか。
例えば、真っ暗な空間でアロマキャンドルを焚き、ゆったりとお風呂に入っているとき。
目をつむって思い出してみましょう。アロマのいい匂いが漂ってきます。
まぶたの裏にろうそくの炎の揺らめきが見えてきます。身体がじんわりと温かくなる感じがします。
『ビジネスマンのためのメンタルタフネス』(ジム・レーヤー著 ピーター・マクラフリン著 高木ゆかり訳)によれば、「空想の現実」といって、人間の脳は、深層では、現実の出来事と想像との区別ができないのだそうです。
現実にはお風呂に入っているわけではなくても、イメージすれば脳がそうしていると思うのです。リラックスをイメージすれば、脳がリラックスを感じ、心身が緩むのです。
どんなときリラックスするのかを知ることが、まず大切です。リラックスが必要だと感じたときには、目をつむってリラックス・イメージを描きましょう。
イメージは、体験がもとになっています。豊かな感情を持てるように、心地よい体験をたくさんしていきたいものです。
(コンピューターテレフォニー2013年7月号掲載)
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