情報処理学会は、このほど都内で「ソフトウエアジャパン2018」を開催した。そのうち、コンタクトセンターフォーラムでは、「AIの時代に向けたコンタクトセンターの経営貢献」をテーマに、講演およびパネルディスカッションを行った。
最初に、日産自動車 グローバル情報システム本部アフターセールス・ワランティ&クオリティシステム部 ビジネスアナリスト 相楽香織氏が、「ユーザから見たAI機能分類図」を講演。インプット情報が自動か人手を介すか、アウトプットが対象に合わせて自動で最適化されるか否か、という2軸でAIソリューションを分類したうえ、ユーザーがAIに対し過剰な期待を持ちすぎていると指摘した。
次に、SMBC日興証券 東京コンタクトセンター 稲田英樹部長が、「人とテクノロジーの協働による、サービス価値の向上」を講演。AIを実装したチャットボット導入の経緯と検証プロセス、導入効果を説明した。同社では、呼量増と人手不足、SVの働き方改革、顧客満足度向上、経営貢献などの観点からLINEをベースとしたチャットサービスを開始。チャットボットが対応できる問い合わせを、新規口座開設など6種類にしぼったうえ、ユーザーがチャットボットと有人対応のどちらかを選択できるようにした。結果、61%がチャットボットを選択し、うち67%ががチャットボットで対応を完結したという。
さらに情報工房 代表取締役社長 宮脇 一氏が、「コールセンタのパラダイムシフト-品質重視への転換-」を講演。「非効率」の追求こそが、顧客とのエンゲージメントを高める近道であると、事例をベースに説明した。
最後に、パネルディスカッションでは、「AI時代に向けたコンタクトセンターの経営貢献」をテーマに、相楽氏、稲田氏、宮脇氏が登壇。つなぐ研究所 河合 洋氏がモデレータを務めた。
河合氏から、AI導入の苦労について聞かれた、稲田氏は「育成に時間がかかるが、時間をかければかけるほど育つ」と説明。また、投資対効果について、「導入前のROI検証とは異なる結果になった。受電が減るという想定だったが、新規顧客のタッチポイント拡大による経営貢献につながっている」(稲田氏)と話した。
AI導入検証した経験のある相楽氏が、データ量の不足によって求めるアウトプットが得られなかった経験を語ると、稲田氏は、「チャットボットを導入するまで有人対応も実施してこなかったため、チャット対応のログがなかったが、代替のデータとして電話対応のスクリプトやログを活用したり、オペレータにチャットボット育成を支援してもらうという形で補えた」と返した。
宮脇氏は、今後AIに期待したいことについて、①自動化、②可視化、③サポートの3点を挙げ、「大量データからの抽出を得意とするAIには、これまで人手では見ることのできなかった顧客の行動や、人材育成のプロセスなどを可視化してもらい、経営貢献につなげたい」と話した。
会場には100名近くの聴講者が集まり、講演に熱心に耳を傾けていた。
日産自動車 グローバル情報システム本部アフターセールス・ワランティ&クオリティシステム部 ビジネスアナリスト 相楽香織氏(左)、SMBC日興証券 東京コンタクトセンター 稲田英樹部長情報工房 代表取締役社長 宮脇 一氏(左)、つなぐ研究所 河合 洋氏
最初に、日産自動車 グローバル情報システム本部アフターセールス・ワランティ&クオリティシステム部 ビジネスアナリスト 相楽香織氏が、「ユーザから見たAI機能分類図」を講演。インプット情報が自動か人手を介すか、アウトプットが対象に合わせて自動で最適化されるか否か、という2軸でAIソリューションを分類したうえ、ユーザーがAIに対し過剰な期待を持ちすぎていると指摘した。
次に、SMBC日興証券 東京コンタクトセンター 稲田英樹部長が、「人とテクノロジーの協働による、サービス価値の向上」を講演。AIを実装したチャットボット導入の経緯と検証プロセス、導入効果を説明した。同社では、呼量増と人手不足、SVの働き方改革、顧客満足度向上、経営貢献などの観点からLINEをベースとしたチャットサービスを開始。チャットボットが対応できる問い合わせを、新規口座開設など6種類にしぼったうえ、ユーザーがチャットボットと有人対応のどちらかを選択できるようにした。結果、61%がチャットボットを選択し、うち67%ががチャットボットで対応を完結したという。
さらに情報工房 代表取締役社長 宮脇 一氏が、「コールセンタのパラダイムシフト-品質重視への転換-」を講演。「非効率」の追求こそが、顧客とのエンゲージメントを高める近道であると、事例をベースに説明した。
最後に、パネルディスカッションでは、「AI時代に向けたコンタクトセンターの経営貢献」をテーマに、相楽氏、稲田氏、宮脇氏が登壇。つなぐ研究所 河合 洋氏がモデレータを務めた。
河合氏から、AI導入の苦労について聞かれた、稲田氏は「育成に時間がかかるが、時間をかければかけるほど育つ」と説明。また、投資対効果について、「導入前のROI検証とは異なる結果になった。受電が減るという想定だったが、新規顧客のタッチポイント拡大による経営貢献につながっている」(稲田氏)と話した。
AI導入検証した経験のある相楽氏が、データ量の不足によって求めるアウトプットが得られなかった経験を語ると、稲田氏は、「チャットボットを導入するまで有人対応も実施してこなかったため、チャット対応のログがなかったが、代替のデータとして電話対応のスクリプトやログを活用したり、オペレータにチャットボット育成を支援してもらうという形で補えた」と返した。
宮脇氏は、今後AIに期待したいことについて、①自動化、②可視化、③サポートの3点を挙げ、「大量データからの抽出を得意とするAIには、これまで人手では見ることのできなかった顧客の行動や、人材育成のプロセスなどを可視化してもらい、経営貢献につなげたい」と話した。
会場には100名近くの聴講者が集まり、講演に熱心に耳を傾けていた。
日産自動車 グローバル情報システム本部アフターセールス・ワランティ&クオリティシステム部 ビジネスアナリスト 相楽香織氏(左)、SMBC日興証券 東京コンタクトセンター 稲田英樹部長情報工房 代表取締役社長 宮脇 一氏(左)、つなぐ研究所 河合 洋氏