変化を嫌う、保守的な組織の「DX」
デジタル人材育成の必要性と要諦
コールセンターは、多くのITソリューションを活用する組織でありながら、ITに精通した人材育成が積極的とは言い難い。結果、属人的なオペレーションに終始し、高機能・多機能なITソリューションをフル活用できない企業もある。コミュニケーション手段のデジタル化が進む今、「デジタル人材」の育成は不可欠だ。企業のデジタル人材育成を支援する専門家にポイントを聞いた。
業種業態を問わず、「リスキリング」が耳目を集めている。とくに、IT知識やリテラシーの学び直しは、高齢化が進む日本社会において、すべての企業にとって喫緊の課題だ。中長期の経営計画に「デジタル人材の育成」を掲げる企業も多い。
企業全体でDXを推進するには、ITリテラシーの低い人材を一部の高い人材がカバーするという従来の方法では、変革スピードに課題が残る(図)。
デジタル人材を育成するうえで、もっとも重要なのが、適性を持つ特定の人材に絞るのではなく、全員を対象にすることだ。とくに、投資の決定権を持つ上位管理職の教育が重要だ。
もっとも難航するのが、マインドセットだ。企業ごとの経営課題に応じて「なぜ今、DXを推進しなければならないのか」を伝え、意識統一を図る。「なぜ(Why)」を理解したうえで、役割に応じて必要なデジタルの知識(What)とスキル(How)を教育するという地道な取り組みが必要だ。
図 全員が「デジタル人材」になる必要がある
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